「君の名は。」を鑑賞する。

「生まれ変わったら東京のイケメン男子にしてくださいー!」
「その願い、叶えてしんぜよう。キュア、プラパパッ!」

本当に新海さんがこの脚本(ホン)を書いたのか?
無常観と云うかもののあはれと云うか、
「ほんに人の世といふはままならぬものよのう。」
「げにも、げにも。」
みたいな煮え切らん作風で、人間には興味ないんだとばかり
思っていたのに…。
神木隆之介くんはこんな役ばっかだな。
逆か。
こんな役の神木くんばっかり見てるんだな。

以下ちょっとばかりネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天頂で崩壊した彗星の核がそんなまっすぐ落ちてくるかなー。
と思いはしたものの、大カタストロフまでは実に楽しめた。
殊に前半のとりかえばや物語のテンポの良さには唖然とした。
主人公二人の生き生きとした表情。
それを支える美しい背景。
場所がズレているだけでなく、時間も微妙にズレていることに
気付くあたりからの断絶と復帰。
正に内的なベクトルから走らざるを得なくなるドラマツルギー。
見事だった。

だけに、隕石落下から変わった未来を生きる二人が出会うまでが、
クドい。
むしろこっちのまだるっこしさの方が本来の新海節とも思える。
でも今までの新海作品なら、自分の常識に押し流されて、相手の名を
問うとこまでいかなかったろう。

観客はこの二人が濃密な時間を育んできたことを知っているんだから、
いきなり抱きついたって文句は言わない。その後、
「えっと…誰だっけ?」でも良かったろう。

新海監督はいっつも自作が不本意な受け取られ方をしてる、実力が
不足してるみたいな事をおっしゃるが、今回のこれはどうだったのだろう。

直球ストレートだったのか、ちょいと粋なフォークボールだったのか。
シナリオが初稿からこの形だったのかが気になるが、
素晴らしい作品だった。


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「シン・ゴジラ」を鑑了する。

なんだか即座に上映が終了しそうなので、あわてて庵野ゴジラを観て来ました。
総監督は企画会議で面白い日本映画を作ろう!とおっしゃったそうですが、
観ている間中、過去の名作邦画の数々を彷彿とさせてくれました。
「犬神家の一族」や「ゴジラ」「日本のいちばん長い日」
「機動警察パトレイバー」など。
そして素晴らしい映画の必須条件、勝利する脚本!のことなど考えていました。
今回、庵野さんはスーパーバイザーであるだけでなく、
脚本を書かれたというので、
非常に気にはしていたのです。
良い映画は常に脚本がすでに勝利している。
このひとが「宇宙戦艦ヤマト」を撮ってくれたら、
どれほど素晴らしいモノになるだろうかと。

率直に云って大変面白かったです。

以下激しくネタバレ有り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭、漂流船が東京湾内に浮いていると云うので、
海上保安庁?が調査に向かうところから、
映画は始まります。不安感を煽る上手い導入です。
当然の様に不安は的中し、湾内に異変が発生。大きな熱源が海中にあるらしい。
交通繁華な東京港のことです。直ちに現場レベルから国政上の問題へと発展します。
この対応策を練る政府の描写が素晴らしい。
最初大したことなかろうと、常識論にあぐらを掻いている閣僚たちが、
次第に本気になり始め、出来る範囲の最善を尽くし出す。
にも関わらず事態の進展は人間の予測を超えて拡大し、
とうとう巨大生物の都内侵攻を許してしまう。
お殿様のごとく「良きに計らえ」で済ましていた総理も
部隊創設以来初めての自衛隊による武力行使の決断を迫られてから、
変わっていく。
観る人によっては愚かな判断と取られそうな最初のヘリ攻撃。
避難民がまだ居ると聞いた総理は迷うことなく攻撃の中止を命令する。
立派だ。俺はあんたなら支持するよ!
その所為で千載一遇のチャンスを失ったかもしれないが。
そして第二次ゴジラ鎌倉上陸。
このデザインの変更巧いなぁ。勝てる気がせんものな。
自衛隊の飽和攻撃をものともしない巨体。
絶対防衛線が破られたことによる政府機能の立川への移転。
「都内にまだ国民が残っているのに!俺が逃げられるか!」
冒頭のヘナチョコ総理が嘘の様だ。
安保協定に則った米軍によるバンカーバスター?攻撃には、
さしものゴジラと言えど血反吐を吐くが、そのことが却って東京を火の海に。
粉骨砕身、国家と国民を守るべく尽力してきた内閣もこの攻撃で塵と化す。
この後、臨時内閣を押し付けられる総理も良かった。
人事入閣と揶揄され昼行灯扱いの凡夫。その人が、
自衛隊、極東米軍の失敗から国連軍による熱核攻撃を強制され、
否やと言えぬ現状に鬱屈としながら、ゴジラを生物学的に停める作戦の時間稼ぎの為に、
フランスの大使に深々と垂れる頭!

大の大人が全力で戦っている姿がここにはある!

まぁ新世紀エヴァンゲリオン「決戦、第3新東京市」の二番煎じじゃんと、
思わない事もなかったが。


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「ガールズ&パンツァー劇場版」を鑑賞する。

ネタバレは…あってもなくても一緒だろ!この映画は!

…焼き直しと云えばこれもTVシリーズの焼き直し。
「全国高校選手権に優勝すれば廃校は止めると云ったな、あれは嘘だ。」
文科省の汚い掌返しに唖然とする高校生達。
廃校取り消しを求めて、今度の相手は大学選抜チームだ!
しかも大洗戦車部八両対大学生チームは三十両で殲滅戦!
あり得ない!

だが!しかーしッ!

…燃えるのぉ。女の子ばっかで萌えアニメかと思いきやおもいくそ燃える展開。
TVシリーズを観てればなお燃える。
昨日の敵が今日の友。強敵ほど頼もしい味方は居ない。
どの戦車戦も工夫があって面白い。
昔の戦争映画へのオマージュも見事だ。
戦車に詳しければそこも楽しいし、この映画ならではの引きも楽しい。
劇伴と音響も聞き所だ。
劇場で、何度でも観たくなる。
時間も短い。

なんと云う優良なコンテンツだろう。
面白かった。


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「スター・ウォーズ 〜フォースの覚醒〜」を鑑賞する。

カイロ・レン!弱ぇなッ!
以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔々、ディズニー帝国に買収されたルーカスフィルム共和国は、
みたいな話かと思いきや。
定番のお城アイコンもすっとばして、ルーカスアイコンが出たと思ったら
いきなりのファンファーレ!
もう拍手喝采ですわ!

やるな!エイブラムス!

エピソード7は「ジェダイの復讐」から二三十年は経ってるらしい。
パルパティンの崩御で帝国の野望は潰えたかと見えたが、その衣鉢を受け継ぐ
ファーストオーダーなる専制国家が再び銀河に跳梁しておる。
そんな中、唯一のジェダイであるスカイウォーカーが姿をくらました!
新共和国もファーストオーダーも奴の行方に血眼!
行き先を示す手がかりが、惑星ジャクーに存在すると云うネタをつかんだ
ファーストオーダーは急遽大戦艦ファイナライザーを派遣する。
戦いの火ぶたは切って落とされたッ!

いけーッ!やれーッ!は活劇映画のお家芸。
そこは丁寧に拾ってくれるエイブラムス監督。
だけどお話はエピソード4「新たなる希望」の焼き直し。
ファーストオーダーの黒き騎士カイロ・レンは
ダース・ベイダーに心酔している様だけれど、
第2デス・スターの司令室で彼がやった事を知れば
考えも変わるンじゃないのかしら。
まずはダース・レンと改名するところからだな。

一番いかんのは主人公レイの悲しみがちっとも胸に迫らない点。
そんな怒りに任せてカイロ・レンを殴り倒してるようじゃジェダイ失格だ。
ルークは田舎の町で埋もれて行く若者の切なさが身に沁みたよ。
きっとエイブラムス監督はこの娘の孤独をちっとも理解していない。
ルークのやるせなさはルーカス監督が故郷のモデストで感じていた
疎外感そのものなんだろう。
レイは凄く強く、アナキンの子供時代を思わせる。
スノークだかノンノンだか云うムーミントロールは何者なんだとか、
科白にだけ出て来たレン騎士団は二話目以降のお楽しみか。

さぁ今度はどんな具合にファーストオーダーをぶっ飛ばしてくれるのか、
チャンネルは決まったぜッ!


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ひらめき至上主義。

ものを作る人は総じてそうかと思うのだけど、インスピレーションを
大事にする。理屈だけで話作ったり、絵を描いたり、作曲したりしても
大抵つまらないものしか出来ないので。

でもそれに頼るあまり手段が甘くなるとせっかくのひらめきが台無しになる。

ひらめきを得たら、ちょっと間を置いて、なぜそれが良いと思うのかを考える。
その良さを理屈付けしたら、次にどう表現したらその良さを最大限引き出せるかを
考える。
一番良いのはそれが何故良いのかを他人に説明することだ。
説明している間にひらめきが確信に変わる。
自分の中で体系化される。
さらに説明しやすくなる。

Zガンダム以降の富野アニメに足らないのはそこでないかと思う。
富野監督はあれこれ思いつくアイディアマンだけど、Z以前なら
スタッフになんでそうなるの?と説明を求められていたのではないかと。

ある程度実績を作った今は「監督のやることだからなんか意味があるのだろう」と
スタッフがよく判んないけどその通りやってしまう。
結果、よく判んないアイディアの羅列で終わる。

でもアイディア自体にはそれぞれ驚きがあるから、なんか得た様な気になる。
トミノカントク、スゲー!じゃなくて、そこは勿体ないと思えと。
聞けと。なんでそうなるのかを聞けと。

しかし集団作業の(金のかかる)仕事がそんな訳の判んない主導で進むのか、
と云う疑問はある。

せっかくの才能が空回りしてる感がある。

訃報:レナード・ニモイ

俳優レナード・ニモイさん死去-「スタートレック」のスポック (Bloomberg) – Yahoo!ニュース.

「人生は庭の様なものだ。完璧な瞬間を捉えることは出来るが、記憶の中以外に残す事は出来ない。」
まさにヴァルカン人だねぇ…。エンタープライズ号のクルーも次々鬼籍に。どうぞ安らかに…。

「ベイマックス」を鑑賞する。

素晴らしい。
ディズニーとも思えん。
なにこの面白映画!
こういうのを観ると、今ピクサーは何をしているのかと思う。
日本へのラブレターみたいな映画だから、
「ニッポン偉い!ニッポン凄い!」と自己拡張を謀っている
ニワカ右翼の皆さんにも受けるンじゃないかなッ。

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭からいきなりロボットの野良試合だ。
この国では闘犬や闘鶏の様に、ロボットの
殴り合いで賭け試合が行われている。
金儲けでなく、そこでの勝負にこだわる主人公ヒロ。
工学の天才である彼は自分のアイディアが通用する場が
欲しいのだ。
同じ様に工学の才がある兄タダシは、弟の天分がそんな
ところで使われるのが口惜しい。
諭したところで聞かぬ気の弟を自分の大学のゼミへ連れて行く。

場末でロボットバトルが横行する国だ。
そこには高い技術力の堆積がある。
タダシの大学は科学オタクの梁山泊だった…。

この一連の流れが素晴らしい!
無理な説明もないのに、物語に沿って彼らの背景が逐一
解って行く。

そこでのタダシの研究は人間をトータルにヘルスケアする
介護ロボット。その名もベイマックスだった。

ゼミでロボット工学の先人キャラハン教授に焚き付けられたヒロは、
一念発起して画期的なマイクロロボットの開発に成功する。
だが記念すべきそのお披露目の日、誰よりも彼を信じ、
励ましてくれた、大きな兄、タダシを失ってしまう…。

生きる意味も気力も失くしたヒロの傍らであのベイマックスが起動する。
「こんにちは。わたしはベイマックス。あなたの心と身体をサポートします」

なんだー!これ!素晴らしい!あらかじめ約束された物語!
語るべき時に語られる言葉!いい脚本は全てを凌駕する!

後半、兄の復讐に我を忘れるヒロの暴走と、悪役の悪の理屈がもっと
相似鏡の様に重なってくれると、もう間違いなく本年一の傑作だったのだけど、
もう一歩が足らなかった…。

それでも随所にスタッフの映画への愛、日本アニメや漫画への愛があふれてて、
初めてビッグヒーロー6が結成され、ベイマックスVer2として飛行プロップを
試すシーン。空を飛ぶ快感も然ることながら、足から火を吹く飛行イメージ。
なんでこれが鉄腕アトムで実現しないのかとッ!

心からリラックスしたヒロが足をプラプラさせるのを見て、同じ様に足を
動かすベイマックス。ふたりがバディになったと思えるシーンで、
「ベイマックス、もう大丈夫だよ」を口にすれば全部終わるのだと改めて
語られる流れ。そして絶望的状況で、たったひとつの冴えたやり方を提案する
ベイマックスにヒロがかける言葉は…。

本編中のキックアスであるフレッドが最後に知る真実も美味しい、スタッフロール
後のオマケまでピクサーっぽい見応えのある映画でした。

「さぁ!語ろうではないか、息子よ!」


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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」を観てしまいました。

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」を観てしまいました。
ご存知の方はご存知の様に、後ろに2199と付くのは
出渕 裕監督による翻案新作のTVシリーズ。その映画版ですね。
再編集版でなく新たに物語を起こしたとの事で行ってきましたが、
以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤマトが地球に帰ってない!
マゼラン雲を出たとこだって?
その後の話ではないんかいッ!

と云う事は…うわぁ沖田がまだ生きている。
古代守が居る様な気がするって、居るわいな!

ってそう云う話じゃないんだな。
冒頭に空間騎兵隊の斉藤が出てくるから
てっきり「さらば」的な話かと思ったら…。

この話の中ではガミラスとヤマトは講和しているので、
ほぼ無傷で残ったガミラス基幹艦隊と交戦せんで済む。
そこが出渕版で嫌なトコのひとつだったのだけど、
出て来たじゃないかッ。ヤマトを許さぬ漢が!
お前、生きとったんかい、バーガー少佐!

そして不穏な新兵器を携えたガトランティスの先遣隊。
ははん、ここはバーガー艦隊とヤマトが共闘するな。

この妙にものわかりのいい古代進もイヤなトコのひとつ。
古代のダメなとこはみんな南部が背たろうてて気の毒。

ああ、これは「スタートレック カーンの逆襲」と
「ミスター・スポックを探せ!」なんだな。
額に特徴のあるガトランティスの描写なんか
クリンゴンそのままじゃないか。立ち位置的には
ロミュランだけど。

宇宙人です、と云う記号に肌の色を変えるのは
お手軽な描写で、顔にドーランを塗りたくって
済ましていたのは宇宙大作戦の頃からそうでした。
ガミラス人やゼンドラーディ人の肌の色が違うのも
その流れでしょう。
でも日本では敵であるガミラス人の悲痛を描き、
ゼンドラーディ人に至っては最終的には味方に
なってくれます。
スタートレックでクリンゴンが士官として登場する、
ネクストジェネレーションが1987年制作。
世界的にもそこそこヒットした超時空要塞マクロス
愛・おぼえていますかが1984年制作なので、日本通
でもあったジーン・ロッデンベリーはこれを観ていた
のではないかと勝手に思い込んでいます。

生まれる事を製造と云い、生活とは戦争そのものだった
ゼンドラーディが、文化を知って地球人に味方してくれる、
この映画のクライマックスはとんでもないカタルシスが
ありました。

強敵が頼もしい同胞となる、まさに未知の世界です。

七色星団で信頼するエレク・ドメルと共に死ぬ覚悟で
臨んだ艦隊戦。無駄に生き残ったと悔やむバーガー少佐は
果たして宿敵ヤマトを前にして何を思うか。

戦馬鹿が死地を見つける、的な話は泣けますわい。
しかもその馬鹿に戦以外の生き方を示す。

正直沖田艦長が艦隊戦を前に病床から立ち上がった時は、
バーガー艦隊を撃てと命ずるのかとハラハラしましたが、
ロケットアンカーによる艦艇振り回しとか新TVシリーズでは
カットされた旧シリーズの名場面も再現し、あっちこっちに
いやらしい気配りを見せる出渕監督でした。

だから面白かったですって!


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「インターステラー」を観てきました。

月末に「ベイマックス」が封切られると云うので
「インターステラー」を観てきました。
えっと…出来の悪い「惑星ソラリス」?
そう云えばクリストファー・ノーラン監督の映画、初めて見たな…。
いや悪い映画ではなかった…。何が噛み合わないのかな。
ハンス・ジマーさんの無闇に感動的な劇伴?
冒頭のインド空軍のドローン…どうもあれが気になって。
前世紀のテクノロジーが失われつつあるエピソード。
なんか他に描き様はないものかと。

以下いささかネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、親切な宇宙人は居なかったって話だよね。
ワームホールを開いたのも無限図書館を開設したのも。
同一時空に同程度の文明が存在する可能性は希有に近い、
と云う計算があるそうで、そうでない場合を考えると、
相手が時間を超越した五次元人、もしくは元地球人と云う。
つまりここで云う「愛」はクーパーやマーフィやブランドや
マンのそれと「彼ら」の動機が一緒なのだと。

「惑星ソラリス」はタルコフスキーさんの映画としては
みっともないくらい噛み合わない映画で、であるが故に
一般的でもあるのだけど、あの映画をダメにしている
科学がここでは全面肯定されている。
ブランド教授やマン博士の様に、使い方を間違っている
例も描かれてはいるけれど、科学的思考が人類を救うのだ、
とする信頼に揺らぎはない。

パル版「地球最後の日」では巨大遊星の接近で住めなくなる地球を
捨てて新天地へ向かうロケットに頼もしさを覚えたものですが、
こうもあっけらかんと見捨てられると…。

そもそも砂をまき散らすストームは温暖化の結果なんじゃないの?
農作物に蔓延する疫病も実は遺伝子操作の結果だったり?
「俺たち農夫は」とのたまうクーパーがドローンを仕留める為に
トウモロコシを4WDでなぎ倒して行く姿は、とても食料危機で
戦争まで起こした人達の価値観と思えません。

ユーモアを解するかの様な超AIを置き去りにして観測させるとか、
おいしそうなネタがあれやこれやと散りばめられてても、
己の信条を微塵も疑わない、実にアンクルサムなクーパーが
かなりの部分を台無しにしてる。

あと秒針のモールスで父の帰還を悟ったマーフィが兄を
抱きしめるシーン、あそこで殺されてもおかしくないと
思うのですが、全人生をプランAの実行に捧げた彼女の
末期に涙したので、許したいと思います。

いや、だから面白かった、ですって。


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「GODZILLA ゴジラ」を鑑賞する。

…これは「ゴジラ」と云うよりは「ゴジラの逆襲」なのでは…。
ゴジラの追っかけをしてるモナークと云う組織のことをもっと知りたい。
面白かったかと問われれば面白かったが、怪獣はパシフィック・リムの
方が怖かったかなぁ…。もうちょっと整理して欲しかったなぁ。

以下いささかネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつてのエメリッヒ版と違い、唯物主義のアメリカを批判するのは
諧謔にあふれたフランス人ではなく、渡辺謙さん扮するその名も芹沢だ!
キリスト世界では神はヤハウェただ一柱だから、水爆でも死なない
生物界の頂点ゴジラを神とか王とか呼ぶのはおかしい気もするが、
ここでは太平洋艦隊の提督ですらそこに疑義を差し挟まない。
アメリカも大らかになったものである。

ゴジラ映画と云えば大活躍する日本の防衛軍だが、アメリカ映画である
今作で、そんなおいしいところは日本に持って行かせない。
モナークが秘密裏に接収した怪獣ムトーの逃走を理由に静岡を米軍が占拠。
日米安保はどうなっているのだろう。
怪獣ムトーのECMで虎の子の電子戦戦闘機が木の葉の様に落ち、
誘導ミサイルも使えず、長年の訓練で鍛えたプロフェッショナルが
あっさりと殺戮されていく快感。
一体この損耗を埋め戻すのに何年かかることか。
対ECM装備の原潜なら海中から狙えたんじゃないかなぁ?

怪獣と対峙する前線が壊滅するのは一作目からのお約束。
大怪獣に対する人間の無力感を否が応でも感じさせる。
初代では避難してゴジラの進軍をただ眺めるしかない市民と
燃える街を見てちくしょう!ちくしょう!と泣く少年のつぶやき。
今作ではムトーとゴジラがバトってる現場へ落下傘降下する
特殊部隊のちっぽけさが印象的でした。
どれほど無力であろうとも、
一歩でも前進する気概が、実にアメリカ的でいいな。

しかしもう少し話が整理出来ないものだろうか。
芹沢は被ばく三世らしいのにゴジラに心酔してて、話を引っ張ってくれない。
妻を亡くして真相追求に人生を賭す技師ブロディは中盤で死んじゃうし。

ガメラは守護神らしいので人間を意識してても構わないのだけど、
ゴジラには都市とか人間の営みとかまったく意に介さない傲岸さが欲しい。
ゴジラが他の怪獣を目の敵にするのはただ単に目障りだから!

なるほどアメリカとは相性悪そうだ。


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