SF三題

SFの定義は勘弁してください。

今期のTVアニメにはSFを感じさせるお話が多くて眼福でした。
それも往年のクラシックなSF。
わたし的にはハインラインやヴォーグトを思わせてくれました。
三本とも社会とか人類とかの大きな括りをひっくり返す大風呂敷でしたが、
最後は個人的な因縁に結論するのが、現代的とは言えるかな。

個人的な話から始めて社会や種族に帰結するのが往年の本道。

『正解するカド』
あんまり一般的な評判は聞かなかったけれど、本格SFの風格。
突如羽田空港に現出した巨大な立方体。
触れず、入れず、壊せない。
焦燥を募らせる政府や報道の前に現れたのは
立方体に取り込まれた政府職員の真道。
立方体カドとその持ち主らしいヤハクィザシュナのスポークスマンを
名乗り、来訪者が接触を求めていると告げる。

大体異邦からの来訪者はとんでもない結果をもたらすものと
相場は決まっていますが、その伝に漏れず、ヤハさんが
提供したのは無限電力装置ワム。
そしてその代わりに要求したのは「正解」だった…。

人智の及ばない技術、理解の及ばない道理に振り回される人類、
と言う昔ながらの構図。
有能な政府や官僚、自衛隊の抑制的な対応に「シン・ゴジラ」を
感じさせましたが、思い出したのは「首都喪失」。
むしろその原作である「物体0」だ。
ワムをめぐる国連との衝突などは如何にもだったが、次に紹介された
サンカは認識を書き換える装置で、実は世界は人類が思ってたよりも
重層的なものだったと知らされる。
そこに至りィザシュナの真意に懐疑的だった日本政府の代弁者遙は
真道に自分の疑惑を告げる。

この後の展開は真道と遙とヤハクィザシュナとの一見個人的な喧嘩に
見えるので好悪が分かれるかと思えますが、なかなかきれいな最終回でした。
小渕総理似の犬束総理が〆る談話が泣かせる。

製作は東映アニメーション:総監督は「翠星のガルガンティア」の村田和也さん:脚本は「アムリタ」の野﨑まどさんでした。

『ID-0』
時は宇宙開拓時代!
鉱石オリハルトの発見により跳躍航法と人格転移を可能にした人類は銀河へと
進出しつつあった。
オリハルトの研究者を目指す学生マヤは、事故の濡れ衣を着せられ逃亡者に。
助けてくれた採掘業者ストゥルティー号の元軍人グレイマンに雇われて、
復権を目指すが、一癖も二癖もあるストゥルティーの面々に乗せられて、
ますます罪状が増えていく悪循環。
謎の鉱石オリハルトを巡る軍とMTインダストリーの確執に巻き込まれていく。

これも昔懐かしいスペースオペラの構図。
しかも個人的な事情から世界のあり様へと展開していく王道。

人格転移が可能な世界なので人間はIDで管理されているが、
何故かIDの存在しないイドと呼ばれる人物の記憶を探す旅から、
マヤは濡れ衣を晴らせるのか!まで伏線本線がうまく絡み合い、
人類総力戦に結集していくお話の妙は「宇宙のステルヴィア」を
思わせる。

いささかネタバレになりますが、殲滅で解決しなかったのが
良かったですな。

製作はワールドコスプレサミット:監督は「無限のリヴァイアス」の谷口悟朗さん:脚本は黒田洋介さんだ。

『けものフレンズ』
正直最初は観てませんでした。
動物の擬人化それもみんなが可愛らしいケモミミ少女。
明らかにお金かかってない画面とシンプルな演出に「ウゴウゴルーガ」を
思わせるが、不穏な展開と廃墟探訪と聞いて見直しました。

サファリパークを思わせる島、ジャパリパークを舞台に自分探しに出かける
カバンだけを持ったカバンちゃんとサーバルキャットのサーバルちゃんの大冒険。

サバンナらしい平原にフレンズと呼ばれる少女たちが暮らしている。
どうもこのサバンナを含めたジャパリパークは放棄された遊園地らしい。
そこでサーバルに襲われたカバンは自分がどこから来たか判らない。
図書館に行けば何か分かるかも知れないと教えられ、パーク横断の
旅に出る。
フレンズたちは自分が造られた存在だと知っているが、元獣の哀しさか
そこから先へは考えが回らず、楽天的にその日を暮らしている。
人間は一体どうしたのか。カバンちゃんは人間なのか。

ウェルズの「モロー博士の島」を思わせるが、もうここに博士は居ない。

カバンちゃんは持ち前の知恵でフレンズたちの問題を次々解決し、
その旅はとりもなおさず人間の黎明からの旅をなぞることになる。

たどり着いた図書館で彼女を待っていた真実とは。

やぁーこのゴールが廃棄された図書館っちゅーのが。
たまらんね!トランターかよ。第二ファウンデーションかよ。
面白かったです。

製作は、けものフレンズプロジェクト(製作委員会らしい):監督/脚本は、たつきさん(ケニア出身だそうだ)

「ガンダムビルドファイターズ」を観了する。

うむぅ。実に面白かった!燃えた!

放送前の番宣では「血迷ったかバンダイ」「ネタ切れか黒田」とか
「プラモ狂四郎アニメ化かよ!」など散々な云われようだったのに、
いい具合に下馬評を裏切ってくれましたッ。

制作:サンライズ、監督:長崎健司、シリーズ構成:黒田洋介。
長崎さんはこれが初監督作品。脚本も手がける黒田さんは00ガンダム
もこなしたベテラン。

シリーズを並列して様々なモビルスーツが対戦するアイディアは
ターンエー的でもあるし、スーパーロボット大戦的でもあるし、
決して目新しいモノではない。
でもそこはバンダイが長年培って来たガンプラという資産と
それによる対戦と云う仕掛けが何重にも楽しめる展開を用意してくれた。

シリーズ当初ではモデラーとして充実するも、対戦で弱い主人公
イオリ・セイを通して世界観を納得させ、ガンプラにもガンダムにも
興味のないレイジの登場で対戦モノの醍醐味を描く。

モビルスーツにはそのデザインや能力にパイロットのキャラクタが
反映されている。モデラーとしての熱意と選択が物語にドラマを作る。

序盤で主人公たちの教導役ランバ・ラルが云う。
「所詮ゲームだ、いつ辞めたっていいんだよ。でもだからこそ真剣になれる。」

シリアスが圧倒的なガンダムシリーズでは対戦は文字通り命のやり取りで、
敗北すれば死ぬ。物語と云う運命に翻弄され悲惨な目に遭うキャラクターたち。

生身の格闘と違い、戦っているのはあくまでプラモデル。
戦場の風がしないと云う批難はここでも有効だけど、それだけに戦略、展開、
技能、センスの切磋琢磨に集中できる。

大の大人が真剣に集中するゴッコ遊び。
先のランバ・ラルもそうだが本編では不幸な出会いでしかなかったキャラクタが
何人かここにも登場している。
圧巻だったのは第二十三話「ガンプラ・イブ」。
三代目名人カワグチとの決戦を先に控えて、セレモニーに興じるふたり。
会場にはガンダムシリーズの各キャラクターの姿が。
本編では憎み合ったり殺し合ったりした彼らがガンプラ作りに勤しむ姿はまるで
ヴァルハラのようだった。
親の愛を得られなかったVガンダムのウッソ・エヴィンが両親に囲まれ、
互いに憎み合って戦場に爆散したF91のカロッゾ・ロナが娘や妻に向ける優しい眼差し。

ソレを指している訳ではないが、名人が語る「いい景色だ…」のセリフ。
これまでの熱闘が物語に昇華した瞬間でした。

熱い!

結局名誉や誇りを重んじるレイジの正体やアリアンと地球の関わりも不明なまま
だったけど、往年の活劇では他所からやって来た風来坊はニヒルに去るのみなのだ。
そこで全ての問題の解決と誓約を叶えて。

ドラえもん然り、ブースカ然り、そしてシェーン然りなのだッ。


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アニメ『花は咲く』放送スケジュール

 

「AKB0048」を観了する。

まー、名前からしてAKB48の宣伝アニメです。

企画:秋元康、原作/総監督:河森正治、制作:サテライト。
監督の平池芳正さんは近年では「アマガミSS」の監督、
「カレイドスター新たなる翼」では佐藤順一監督と連名されたひと。

わたしも秋元康さんの売らんかな商法にはウンザリする方ですが、
マクロスではずっとアイドルを全面に描かれて来た河森さんのハナシです。
期待をもって鑑賞に臨みました。

時は宇宙移民時代。人類は多くの星を植民しておりますが、生活は
あまり豊かでなく、生産力は生命維持につぎ込まねばならぬ星々が
まだ多く有りました。そう云った星では芸能が禁止され、ただひたすらに
生産のみに明け暮れていました。
比較的豊かなアキバスターに本拠を置くAKB0048は、依頼があれば、
そう云った芸能禁止の星へゲリラライブを仕掛ける戦闘的アイドル集団でした。

目的はただ歌を届けること。

自治政府の方針に逆らう0048を排除しようと強行警察隊デス軍が
襲撃してきますが、00は自ら武装し、これを蹴散らします。

物語は辺境の鉱山都市ランカスターで、AKBのゲリラライブに遭遇した少女たちが、
同じ舞台に立つ事を夢見て、AKBに志願するところから始まります。

歌って踊れる、可愛さだけが売りのアイドルでない。
彼女らはただ歌を届けると云う事の為に銃を取らんといかん。
AKBの主張は「人はパンのみにて生きるに非ず」
生活が苦しいからこそ、歌が要るというものです。

デス軍はこれに真っ向反対します。
歌なんかで腹が膨れるか、と。
歌を歌ってるだけの人間にミサイルや電磁ムチを叩き付けてくる理不尽さ。
彼女らは秩序を破壊し、人民を堕落させる魔女。

こんな対立を背景に研修77期生を中心として、アイドルとは、
歌うとは、が描かれていきます。

正直全十三話はちょっと短い。
伝説の初代0048が何をしたのかとか、その名を襲名するシステムとか。
謎の存在センセーセンセーとか。
話的にはこの倍は欲しいところ、でしたが。
面白かったです。

マクロスシリーズでは、アイドルは必ずバルキリーに守られながら歌う。
そうでなかったのは本人自らバルキリーを駆った「マクロス7」だけですが、
0048はこれに通ずるものがある。

だからきっと77期研修生が襲名メンバーとなる最終回では、歌だけでデス軍の
武装を解除してくれるものと信じております。


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