記事タイトル:「バンパイア」第五巻と「鉄腕バーディー」第十四巻を購入す。 


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お名前: ななかん   
「鉄腕バーディー」14巻 「昭和不老不死伝説バンパイア」5巻
「鉄腕バーディー」14巻 「昭和不老不死伝説バンパイア」5巻

昭和不老不死伝説のほうはとりあえず昭和編が終了した、というか平成編につなげるつもりだったのか?
歴史変わってるじゃん?
マリア会が夢想する理想国家がアメリキの産軍複合体にいい様に操られる未来の話?
吸血鬼が科学的な視点で語られるのは好きなんですが、それの軍事利用とかは「BLOOD」?
怖いのはそれすらの自分の欲望に利用しようとする人間なんです、みたいなのはいささかどうも。
経済が崩壊した日本の話であれば、描く価値もあるような気はするが。
それはつまり信用を失った社会の安全保障をどうするのか、ということだし。
同じような意味で「酔魂草」に汚染される日本の姿は、どうにも60年代的だ。
軍隊がプロとして描かれるのは、それだけで日本では新鮮味もあったりするが、
真の腐敗は武器を持った連中が堕落することだし。
タイやビルマでは国内最大のシンジケートは軍の中にあるとか。
警察や自衛隊が自らの保身のために、国家・国民を食い物にする事態のほうが戒厳令施行
よりよほど怖いと思う。
理想主義者はその方向の是非はともかくよかれと思っているだけましで、
利己主義にはなんの救いも無い。

いやいや、どちらも面白かったし続きが気にはなるのだけれど、今これが描かれる意味が
希薄なのでは、と思えたのは自分がそういうものを読んでみたいと思うからなのか。

とは言え腐敗した軍隊の例など古代中国に戻るまでもなく、近代の日本にもその実例が
あったわけだから、もう少しグローバルな視点が両作品には欠けているような気はする。
アメリキもルーシーもましてや中国や韓国は、書き割りとして存在しているのではない。
日本が再び化け物に変容しようとしている時、隣人がそれを手をこまねいて見ているだろう、
というのはあまりに希望的観測である。

日本の軍事大国化の背景にあった日英同盟はおおよそ二十年で失効した。
日米の安全保障条約を日米同盟と考えれば、およそ五十数年続いている。
当初、その利害は対ソ連で一致していたわけだが、現在は対中国である。

この度の北朝鮮との対立はその前哨戦と云える。
今、中国首脳が金政権に批判的なのは、道徳的でないからというより、
対米開戦の準備がないからだと思われる。それはおそらくアメリキが
そうであってほしいと願うような物量による力任せの戦争にはならないだろう。
どちらにせよ中国と国境を接する国に、米軍が大量爆撃を行うような事態は
共産党政府の欲するところではないに違いない。ピョンヤンを爆撃する作戦は
そのままペキンを爆撃する作戦に書き換えられるのだ。
後ろ手に拳銃を隠しながら、ナイフで相手ののど元を牽制しあっているチンピラ、
という図がこの日本周辺の国際情勢というやつではなかろうか。
さらにその北には漁父の利を狙ってロシアが押し黙って座っている。

かつて同じような図面では日本のアドバンテージも結構大きかったのだが、
なんらかのパラダイムシフトを構築しないと、今回のこの図面で日本が
主導権をつかむチャンスはあまりないと思える。

そのための一手は再軍備には、ましてや核武装ではないと思うのだ。

[2006年11月4日 12時56分13秒]

お名前: ななかん   

腐敗する軍隊というのは旧態然とした常識からすれば矛盾した考え方と云えるかもしれん。
苛烈な訓練に耐え、常に備えを怠らない事を命題とする組織が、何故に堕落するか、と。
健全な精神は健全な肉体に宿る式の人間観しか持たない人にはあり得ない前提だが、
健全な肉体であれば健全な精神が育つなどと云うのが、既に思い込みであると云う事実に気付けば、
訓練されたゲリラ兵やテロリストが常に己が正しさを信じて、殺戮を行っている訳ではないという
現実から容易に演繹できよう。
指針を与えられずに肉体を強化された兵士は、その存在自体が凶器なのだ。
彼が自分の楽しみの為に強化された肉体で愉悦を楽しまないと誰に云えよう。
増してそういった指針を与えられない司令部がコントロールに従うとは到底信じられない。

稚拙ではあっても国粋主義や愛国心という指針が正当化されている間は、暴力も有効に
機能するが、それでもなんら監視がない状態では軍人と云えど簡単に誘惑に屈するのである。

密教には荒行と称して過酷な解脱の修法を行う集団もあるが、ああいうものと軍隊の訓練は
同列には語れないのだ。

では軍隊に戦陣訓を徹底するような精神修養の時間があれば、腐敗しないのだろうか。
子供達に教育勅語を教え込み、道徳とは考えるものではなく、憶え込むものだ、と強制すれば
軍隊は腐敗しないのか。

要は暴力を行使する心構えである。
暴力はさらなる暴力を誘発する、その覚悟があるのか、と常に問われ続けなければならない。

頭の単純な人は相手の覚悟を打ち砕くほどの恐怖があれば、暴力は連鎖しないと考えるようだが、
殴られた者は例え恐怖に怯えようと、その屈辱を忘れないものだ。
9.11が良い例ではないか。
強力で巨大な国家や権力が衰退して、反撃を組織化できないと知れ渡れば、
そこには略奪と陵辱が吹き荒れるのだ。

北朝鮮は日本や韓国は民主化で腰抜けになっているから、こちらが拳を
ちらつかせればすぐに尻尾を巻く、と思っているらしい。

これは中国と開戦する前の帝国軍の見解とほぼ同じものだ。

かつてとは戦争の様相そのものも異なっているだろうが、暴力で相手を沈黙させた
と思っていてもそのしっぺ返しはどこからでもやってくる。例えその時の対立者を
皆殺しにした所で、味方がいつまでも一枚岩で通るわけもなく、制圧のあとには粛正という
暴力が巻き起こる。

そして北朝鮮軍令部が、もはや同国の国益を代表していないのも、疑い得ないところだろう。
ここはすでに腐敗した軍隊なのだ。

[2006年11月6日 13時28分25秒]

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