記事タイトル:思いつき覚え書き その七 


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お名前: ななかん   
おや?茨木の山奥から今しも自称天才の少年が、花の都・鎌倉へまんがの持ち込みに来ましたよ。
自信満々に取り出されたまんがは、クローズアップやカットバックを多様した映画のようなまんがです。

「ぼくはこれを藤子不二雄先生のドラえもんからインスパイアされました。キネマンガと呼んでいます。」

「…きみ、手塚先生の作品を読んだことは?」

「誰ですって?」

棚から取り出された新宝島を読むよう勧められる少年。作品の冒頭から青ざめていく。

「いや、だってぼくはこんな人は知らない。だからこれはぼくの独創性だ、そうでしょ?」
「ぼくは藤子先生すら到達し得なかった高みへ届いたんだ!」

聞いてみると藤子先生の他の作品もまったく知らないらしい。

「読むに足らないんだもの!ぼくの方がうまいじゃないか!中味で評価してくれよ!?」

「どうしてそんなぼくが生まれる前のことで、ぼくの才能が貶められなきゃならないんだ?」

知らないということがいかに幸せなことか。
彼は初めて故郷の水溜以外の大海を味わったわけだが、世の理不尽を憤る彼の眼にはその広さ、深さは
まったく見えていなかった。

一見笑い話のようですが、ノンフィクションだとしたらどうでしょう?
「まんが」の部分を他の何かに置き換えてみる、とか。
[2006年6月27日 14時56分15秒]

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