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「コープスブライド」DVD |
良かった。
死体の花嫁、というとなんだか中国あたりの説話っぽい感じを
想像したのだけれど綺麗にまとまってた。
きれいすぎて逆にものたりなさを覚えるほど。
殺されて打ち捨てられ、無念の亡霊となった花嫁が
己を殺した男を目の当たりにした時などは人間らしさなんぞ
微塵も感じさせないほうが好みと云えば好み。
楳図かずおさんなら活きながら八つ裂きでズタズタにしていることだろう。
復讐が何も生まないのは人間同士のあいだならではのことで、亡霊の復讐は
因果というものではなかろうか。
花嫁が復讐しなかったことで救われるのであれば、そこに神の手をさしのべる
ぐらいのことはしてあげてもヤハウエは怒りますまい。
そのことで今までは見えなかった神の国の門が、見えるようになったとか描かれれば
安息日に教会へ行かない不信心ものでも、多少は行いを改めるのでは。
「ノートルダムの鐘」でカジモドが陽のあたる場所に出てきたとき、少女が迎えてくれた
のを見て救われたな、と思う反面、結局エスメラルダの愛は得られんのかという落胆を
感じたときのような切なさがあった。
ずいぶん前に読んだ少年マガジンの漫画で、タイトルは忘れたが死人使いの魔術師と戦う拳法使いが、
敵の術にはまり、死体になってしまうのだが意識は連続していて、身体が腐り始めると
次第に理性を失っていくという描写があって、必死に人間だった時の気持ちを保とうと
するのだけれど、腐って流れ落ちる脳みそと共に記憶が壊れていく怖さがよく出ていた。
ひょっとするとそういうものをこの映画にも求めていたのかも。
クライブ・バーガーの小説などではけっこう容赦がないからなー。
パペットのデザインや顔の表情などがすばらしく、とくに主人公三人組の顔は
ほんとうによく動かされていた。 エミリーがちょっとためらうときの仕草など
ヴィクトリアよりこっちを選べよ!とじょに・でっぷに説教したくなるほどだ。
花丸をさしあげたい。
[2006年3月21日 23時49分39秒]