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「メモリアノイズの流転現象 ソウルドロップ奇音録」 |
面白かった。
ソウルドロップの続編らしい。相も変わらず怪盗ペーパーカットを追跡する
サーカムの凸凹コンビの活躍だ。
やはりブギーポップの居る次元での別の出来事を追ってはいるが、エコーズ以外の
探査針が地球に打ち込まれていたか、みたいな背景描写は彩りのようなもので、
前回に較べるとキャビネッセンスの重要性がより深くなった。
意図的な偽装と、結果的に誤った認識は周辺において似た展開を惹起する。
まして関係者が事実関係に先入観を持っているなら、なおさらだというお話。
ペーパーカットはどうも人間ではなかったらしいが、さりとて虚空牙の端末にしては
あまりに事情にくわしすぎる。
ブギーポップが人間か、と考えるとなんとも不安な気持ちがわいてくるが。
純粋なミステリのファンには邪道な設定のような気もするが、もともとミステリとSFは相性がいい。
どちらも始めたのは同じ個人。エドガー・アラン・ポー、その人なのだから。
本編では霧間誠一がオキシジェンの相棒だったという、驚天動地のパラダイムシフトによって、
物事が一挙に加速しそう、ではあるがやっぱり肩すかしを食うのでは、という疑念も全く去らない。
[2005年10月22日 12時45分51秒]