「グッバイ、ドン・グリーズ!」を鑑賞する。

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「グッバイ、ドン・グリーズ!」パンフレット
「グッバイ、ドン・グリーズ!」
配給:KADOKAWA
制作:MADHOUSE
原作:Goodbye,DonGlees Project
脚本:いしづかあつこ
監督:いしづかあつこ
2022年2月18日封切り

全然うわさが聞こえず、打ち切りもあり得ると見てあわてて鑑賞してきました。平日初回とは言え観客はわし一人。貸切でした。
正直地味です。エロい女の子がアニヲタの興味を引くでもなし、宇宙や異世界に転移するでもない。田舎に住む中学から高校に上がったばかりの馬鹿三人組の小さな冒険の物語。誰もが想像する「スタンドバイミー」や「グーニーズ」の様な映画。

だが監督はあの「宇宙よりも遠い場所」をモノしたいしづかあつこだ。それだけで終わる訳がない、と思いつつの鑑賞でしたが正解でした。
面白かった。
「もし明日世界が終わるとしたら、何を後悔し、何を望むか?」そして冒頭から明かされる喪失。
この導入で上記三作品が気に入ってる人なら見て損はない。非常に上質な映画体験を約束できる。
が、映画とはハリウッド式の開始5分で観客鷲掴みなエンタメでないと!なひとは「ウェストサイドストーリー」でも行かれるが良かろう。
もちろん観てないが、スピルバーグの新作だしなー…。


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「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を鑑賞する。

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「閃光のハサウェイ」パンフ
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
配給:松竹
制作:サンライズ
原作:富野由悠季
脚本:むとうやすゆき
監督:村瀬修功
2021年6月11日封切り

長らくの映画館いじめがこの6月から解除されたので開巻1番に拝見してきました。
なんか時間が短い…。原作を読んでないのでこの話のボリュームがわからないが、これでは顔見せぐらいで終わるのでは…と思ってたら三部作の一作目なのね。村瀬修功(虐殺器官)・渡辺信一郎(カウボーイビバップ 天国の扉)ペアのリアルな描写に目を見張る。本当にこういう機動兵器が日常にあるかの様な自然さだった。

話はアクシズ落下作戦から十数年後「逆襲のシャア」の直近にあたる。月から地球へ向かう高級シャトルにハサウェイ・ノアは乗っていた。降下中に軍人らしいケネスや不思議ちゃんモデルっぽいギギと知り合うが、マフティを名乗るテロリスト集団にハイジャックされてしまう。マフティの主張は全人類の宇宙移民だったが、このテロリストたちはどうも身代金が目的らしい。ギギの心の声を聞いた気がしたハサウェイは制圧に立ち上がる。
村瀬作品としては非常に観やすく、親切な展開だったが、なんかこう外連味というか、えー!みたいな驚きは足りなかったかな。市街地を盾に逃げようとするマフティのモビルスーツに対して遠慮会釈なくミサイルを放つ連邦軍の描写、トミノ作品では空襲と合わせて定番の戦闘描写だけども、「司令官が変わっただけでこの違い」というセリフによって軍にもテロリストにも戦闘を拡大することに忌避があることが知れてしまう。しかも軍にその一歩を踏み込ませたのは要人暗殺を手段とするマフティなのだ。アムロもシャアも居なくなった世界で正義と信ずるハサウェイを止められるのは、ケネス率いるキルケー部隊か、ニュータイプの覚醒か。
ロンド・ベルに居場所がない理由とか、クエス・パラヤは話しかけてこないのか、は次作以降に出るのかなー。

丁度Z三部作をTVで観たばかりだったので、面白かった。隔世の感がありました。


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訃報:アニメーター大塚康生さん死去

 「ルパン三世」「未来少年コナン」「じゃりン子チエ」などで作画監督を務めた名アニメーター、大塚康生(おおつか・やすお)さんが15日、死去した。89歳だった。葬儀は親族で行う予定。 1931年、島根県生…

情報源: アニメーター大塚康生さん死去、ルパン三世の作画監督:朝日新聞デジタル

とうとうこの時が来たか…。ご冥福をお祈りします。ありがとうございました。😢

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を鑑賞する。

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「シン・エヴァンゲリオン劇場版」パンフ
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
配給:東宝・東映
制作:スタジオカラー
原作:庵野秀明
脚本:庵野秀明
監督:鶴巻和哉/中山勝一/前田真宏
2021年3月8日封切り

前作:Qから十年ぶりの完結編「シン・エヴァンゲリオン」を観て来ました。
面白かった!
以下ネタバレあり。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ダウナーな内容だった:Qのその後から話は始まるが、なんと開幕巻頭はパリ凱旋門をめぐる戦闘だ!なんかそんな気はしてたんだが…。
花の都パリもLCLの海に沈み人は居ない、がどうもシンジインパクトの前から対ネルフ用の装備がヴィレによって保管されていたらしい。
ネルフはもはや見境なしに人類を攻撃しており、その技術力は使徒の生物兵器化も 可能にしている。
そして:Qでは描かれなかった難民の生活!旧箱根の難民キャンプには成人した鈴原や相田がッ!ここが泣ける!
:破で出て来たLCLの無害化装置がこんなところで生きてくるとは!
シンジが必死で頑張っていたことを知っている鈴原や相田はシンジを責めない。
ネルフ以外の生活を知らない黒波は見るもの聞くもの新鮮で興味津々だ。
人間としての情動を揺すぶられた黒波はシンジにも村での生活を勧める。
そして明かされる式波と黒波の秘密…。なんという下劣なことを…。
ネルフ許すまじッ。
黒波の別れの挨拶を聞いたシンジはヴィレに戻る決意を固める、父を止めなければと。
人類補完計画の最終段階を実行するべく、原罪の地南極を再び開こうとするネルフに対し、最終決戦を挑むヴンダー。
戦いの火蓋は切って落とされたッ!
クァー!燃える!泣ける!暴力や恐怖では解決しない闘争!
:序を観た時にチルドレンを救う話にしたいのかなぁと思ったけど、見事に救ってくれた!
エヴァンゲリオンが存在しない世界の創生。漫画版のラストのような爽快感。
まさに新世紀!
ようやく宿題を終えましたな、庵野氏ッ。お疲れ様でした!👍


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「魔女見習いをさがして」を鑑賞する。

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「魔女見習いをさがして」
「魔女見習いをさがして」
配給:東映
制作:東映アニメーション
原作:東堂いづみ
脚本:栗山緑
監督:佐藤順一/鎌谷悠
2020年11月13日封切り

ハッピーとラッキーを届けるべき相手には届いていない様だ‥。
「おジャ魔女どれみ」20周年記念作品として15年ぶりの新作映画を観て来ました。
平日とは言え、貸し切り状態で女性の姿はなく、嗚咽もツッコミも誰憚るところがありませんでしたが、面白かった。
主人公の三人は身も心も大人のとば口に立った立派な女性。だがそれぞれに社会との間に問題を抱えており、かつて熱中していたアニメ「おジャ魔女」のMAHO堂のモデルになった洋館が鎌倉にあると言う記事に引き寄せられ、性格も立場も違う三人は出会い意気投合し連絡をやり取りする仲に。
「大人になったら」と当時はそんな先の事はわからないと思っていたが、いざ大人になるとなんか思っていたのと違う。「おジャ魔女」の足跡を辿る旅はそのまま彼女らの鬱屈が因って来たるところを辿る旅に。魔女見習いの時代を過ぎて、魔女となった彼女らの見つめる先とは。

これ女性三人衆だと聖地巡礼も自分探しも絵になるけど、男が三人寄り集まっても臭いの不潔の黙って働けの言われそうで理不尽この上ない。ダメ女を振り払って新天地を求める男は大抵の場合エゴイストと呼ばれるが、この話では武勇譚だ。
男の魔法使いは一部を除けば大体ろくでもないものと相場が決まっているのも納得いかないが、三人の魔女の未来には幸あらんことを。


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「劇場版鬼滅の刃ー無限列車編」を観賞する。

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「鬼滅の刃ー無限列車編」
「劇場版鬼滅の刃ー無限列車編」
配給:東宝/アニプレックス
制作:ufotable
原作:吾峠呼世晴
脚本:ufotable
監督:外崎晴雄
2020年10月16日封切り

日本の興行史を塗り替えんばかりに破竹の進撃を続ける映画を観てきた。原作漫画が人気出始めた頃はどこかで見た様な漫画だ、新味はない、などと斜に構えた意見も多かったし、今でもそうだとするひとも多いが、TVアニメ版の丁寧な作りが評判を呼び、満を持しての劇場版新作が公開をコロナ禍で延期され、待ちに待った封切りは娯楽に飢えた観客の満足に十分応える出来だった。
物語はTVアニメ版の続きで、それまでを説明する様な描写は一切ない。一本の映画としては不親切極まりないが、TV版が原作の三分の一辺りで終了しており、大正の好景気に沸く日本の闇で暗闘する鬼と鬼殺隊のその後を待ち望んでいた視聴者にはまったく問題なかった様だ。
かく言うわたしも原作は未読、TV版は総集編を見たのみだったが、面白かった。
人外の異能を示す鬼達との能力バトルは、ジョジョシリーズの様でもあり、忍者武芸帳のソレでもある。ヒトを捨てて鬼となった自分を上位種として誇る鬼と人間のままその脅威に対抗しようとする鬼殺隊の戦いは正に人間讃歌。ディオ・ブランドーとジョナサン・ジョースターの戦いそのものだ。
今回の敵は多くの鬼殺隊士を屠っており、鬼どものエリート集団「十二鬼月」の誰かと思われ、鬼殺隊でも名うての「柱」から最強と名高い煉獄杏寿郎が派遣された。その支援に主人公竈門炭治郎らがまわされる。
走行中の汽車の中、周りは夜の闇に囲まれて、電気灯のまたたく時、その陰からのそりと鬼が現れる…。この雰囲気が堪らない。早速二体の鬼を倒し、意気軒昂の面々だったが、すでに十二鬼月下弦の壱、魘夢の術中に陥っていたのだ。魘夢の異能は昏睡。夢を操って人の心を蝕む。慎重かつ狡猾な魘夢の技を打ち破れるか、鬼殺隊!
続編も待ったなしだ!


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「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を鑑賞する。

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
配給:松竹
制作:京都アニメーション
原作:暁佳奈
脚本:吉田玲子
監督:石立太一
2020年9月18日封切り

鬼畜なファンにスタジオを焼かれ、多くのスタッフを喪った京都アニメーションの復帰作が公開された。
物語はTV版の後日譚だ。冒頭、祖母を失った孫と母の軋轢から話が始まるが…この亡くなったお婆さんというのが…。TV版でも屈指の名編、第10話「愛する人は ずっと見守っている」のアンその人だった。時代は進み電信電話が通信の主役となり、代書業のC.H郵便社も役目を終えて解散しているが、曽祖母クラーラからアンに送られたヴァイオレットの代書に感動したデイジーは、その痕跡を追い求める。そこで見えて来たヴァイオレット・エヴァーガーデンの後半生とは…。
上手い。この全てが終わったところから話を始める語り口。本当に映画っぽい。TV版でもそうだったけど、数ある京都アニメーションの作品の中でも、このヴァイオレット・エヴァーガーデンは描写が特にくどい。この映画でもそのクドさは健在。ただ大きなスクリーンで観るとそこにも味があって、特に雨とか風の描写が素晴らしい。海風など潮の匂いが漂って来そうだった。この風と雨と波の描写は大きな陰影を映画に与えている。再会の場面で日が沈んだり雨になったりするのは爽快感に欠けるが、意図的な短調なのだろう。なんとなくネオリアリズムな感じがした。この喪失感はスタッフの本音とも思える。良かった。


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「2分の1の魔法」を鑑賞する。

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「2分の1の魔法」
「2分の1の魔法」
配給:東宝/ウォルト・ディズニー・ジャパン
制作:ピクサー・アニメーション・スタジオ
脚本:ダン・スキャンロン/ジェイソン・ヘドリー/キース・ブーニン
監督:ダン・スキャンロン
2020年8月21日封切り

コロナ騒動で公開が停止されていた本作が五ヶ月ぶりに封切られた。ピクサーとしては22作目、「トイストーリー4」に次ぐ新作だ。
正直ラセター無き後のピクサーにどれほどの実力が残っているかと訝っていたが、杞憂だったと見える。いい映画だった。
舞台はマッシュルームトンと言うアメリカによくある郊外型の都市。そこに住むのはファンタジーに登場するエルフや魔獣たちだった。剣と魔法に頼る世界に科学文明が押し寄せると、その便利さに己の実力や魔法を忘れていく。そんなアメリカナイズされた街に暮らすエルフの兄弟が主人公だ。優しく思慮深いが臆病で引っ込み思案な弟イアンは16歳の誕生日を迎える。だが人生をやりくりしていく自信に欠け、物心つく前に亡くなった父ウィルデンを敬慕している。陽気でお調子者だが短慮で他人と合わせることが出来ない無職の兄バーリーは、陰にこもりがちな弟を励まそうとあれこれ干渉するが基本的に出来のいいイアンにはありがた迷惑だった。女手ひとつで二人を育ててくれた母ローレルから実は父からのお祝いがあると聞かされ仰天する。それは大昔の魔法使いが術に使っていた魔法の杖だった。それを使えば一日だけ父を復活させられるというのだ。父の記憶を持つバーリーは必死に魔法を試すが成功せず、そもそも魔法を信じていないイアンが杖を振るうとそこには下半身だけの父が現出した!中途半端だったのだ。知識だけは豊富なバーリーと才能だけはあるらしいイアンは復活の魔法を完成させるべく旅に出ることを決意するのだった。
物質文明を享受する魔獣たちの零落っぷりがおかしい。走らなくなったケンタウロスとか飛べなくなったフェアリーとかが、二人の冒険に引っ張られて自分を取り戻す姿が泣ける。ことに教導役のマンティコア。
父と出会うための旅は兄弟のこれまでを振り返る旅でもあった。母親の存在感もいい。最後の試練がこれまでの努力を無にしようという時、イアンが示すたったひとつの冴えたやり方がいい。


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「映画この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」を購入する。

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「映画この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」
「映画この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」
Blu-layDisc
制作:J.C.STAFF
原作:暁なつめ/三嶋くろね
脚本:上江洲誠
監督:金崎貴臣
販売:2020年3月25日
購入:2020年4月25日
価格:5740円(税込)


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「劇場版SHIROBAKO」を鑑賞する。

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「劇場版SHIROBAKO」
「劇場版SHIROBAKO」
配給:ショウゲート
制作:P.A.WORKS
原作:武蔵野アニメーション
脚本:横手美智子
監督:水島努
2020年2月29日封切り

ガールズ&パンツァーから五年ぶり、自身の監督作品としては六本目の劇場作品は劇場映画を作るムサニの奮闘物語だ。
これも焼き直しと云えば焼き直しだけど…。TVシリーズではしがない下請けプロだったムサニ(武蔵野アニメーション)が元請けとして信用と実力を勝ち取るまでの悪戦苦闘が描かれた。今回は不渡りをつかまされ、それまでの蓄積を一切失い、下請けに逆戻りした底辺からの復活劇。冒頭から失意の連続。活気を喪ったムサニの暗澹たる日々。かつての仲間は生活を守るために雲散し、なんとか会社の体裁は保っているが毎日が自転車操業。周囲からは「夢を仕事にできるなんてうらやましい」などと無責任に揶揄される。そんな折に再び元請けからの無理難題。おなじみの「万策尽きたーッ!」は出なかったけど、そこからの起死回生ッ!こんな状態からの逆転、綱渡り、チームの復活はTVシリーズそのままの醍醐味だ。
そういう意味で新味はない。宮森が制作を決意する際のミュージカルシーンや公開三週前で差し替えられる脱出劇など映画ならではの奥行きある描写は見応えあるが、まずは安定した作劇だろう。疲れてる時にはいいかも知れない。今は現に疲れてるから面白かった。話題の「ミッドサマー」とどっちにしようかと思ったが、この選択も正解だったのだろう。ありがとうございました。


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