愛国者と売国奴。

物事を単純にすると、大抵どっか歪むのであんまりよろしくないが、判りやすくする為に戯画化。

とある所にコの国と云う、愛国者と売国奴が半分ずつ(笑)住む国がありました。
コの国は幸いにして一票が一票の重みだったので(笑)国会も国の状態を反映し、
定数十のところ愛国者五の愛国党、売国奴五の売国党で構成されていました。

以前に戦争で敗けた為、占領軍のマツカサ元帥から「子供染みた国」と嘲られ、
無理矢理押し付けられた醜い(笑)憲法が今でも施行されており、そこにはこう書かれています。

「愛国者と売国奴は等しく同じ権利を有する」

この憲法は改変するのに全国会議員の2/3以上の同意を得る事とされており、現在の構成ではどちらかが相手側議員二人を説得せねばなりません。

ある時、国民から税を徴収する必要に迫られ、物品に掛ける税を10パーセントとする事などを同意し、いよいよ可決となったところ税の名前を愛国税にしたいと愛国党から提案がありました。
すると「まるで愛国党の税みたいじゃないか、承知しかねる!」と売国党は憤慨し、国会をボイコットしてしまいました。
通常の法律は参加議員の過半数をもって可決とされているので、愛国党は単独可決に踏み切り、
参加議員五のうち一人を除いて賛成のため、この愛国税法案は可決されました。
売国党が審議に参加していれば、参加議員十、反対六で否決されているところでした。

愛国党は売国奴が嫌いなのでなんとか破滅させたいのですが、憲法に権利が担保されているのでそうもいかず、日々悶々としていたので、憲法もこんな風に過半数で利することは出来ないかと考えました。

そこで激動する世界情勢に俊敏に対応するため、改憲要件を過半数にしようと売国党に持ちかけました。
確かに相手側二人の説得に手間取っている間に情勢の変化に対応し切れない場面があったのと、現状の国会ではやすやすと過半数越えは許すまいとの判断で売国党も同意。

ところが売国党の議員の一人が水虫の治療のため国会を抜けた日、予定のない発議が愛国党から出され、権利の条文の削除が申請されました。あわてた売国党が審議の無効を訴えますが、居ない売国党員は棄権と看做され、全国会議員九、賛成五で条文の削除が可決。矢継ぎ早に愛国党は売国奴の人権を剥奪し、結社や集会の禁止を過半数にて可決、売国党を解体してしまいました。

以後コの国では売国奴は人間でなくなり、人的資源として搾取と売買の対象とされました。服を着る事も許されず、家族は引き裂かれ、繁殖は許可制となったのです。

あまりの事に愛国者の中にもやりすぎではと問題視する意見が聞かれましたが、
「だって売国奴が悪いんだしw」と相手にされず、信じられないものを見る目つきで
「売国奴の味方をする奴は売国奴…」などと云われて黙るしかありませんでした。

しかし愛国党の天下も長続きはしませんでした。
ヨコの会と云う愛国者の中でも最右翼に属する勉強会が、「戦前のコの国こそが真のコの国!」「今やり直せば気合いと根性に勝る我らが勝利する!」とのスローガンを掲げて国会進出。瞬く間に過半数を得ると、同じ手で愛国党を解体。
一挙に戦時体制に鞍替えするも開戦数秒で首都壊滅。コの国人はつぶしがいがあるよ、などと云われてあちこちに連れ去られ、トンキンの虜囚と呼ばれたのは紀元節三千年のことでした。

とっぺんぱらりのぷ。


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