「石の花」5巻を読了する。

「石の花」5巻
「石の花」4巻
青騎士コミックス
著者:坂口尚
出版:KADOKAWA/エンターブレイン
初版:2022年2月19日
購入:2022年2月22日
価格:2310円(税込)


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「石の花」5巻を読了する。」への1件のフィードバック

  1. 読了日:2022年3月15日

    「人殺しだー!人殺しなんだ、天国へなんか召される訳がない!」
    最終巻です。フィーの収容所生活は陰惨を極め、同房の囚人たちが次々死んでいく中、なぜか先生の言葉が思い返されるのだった。クリロの兄イヴァンは二重スパイがバレて拷問されるが吐かないと見るや釈放される。彼が裏切ったと誤解するコミンテルンの手で処刑させるためだ。幼馴染だったマイスナー大佐と最期の面会をするが、マイスナーの極論を完全には否定できなかった。チトーの本隊とはぐれてしまったバルゴ隊は山中で補給も得られず、自滅寸前だ。錯乱し統率の乱れた隊からクリロは脱落する。
    二年後ナチスドイツは敗北した。復興の槌音と共にユーゴスラビアは赤化しドイツとの協力者を炙り出していた。パルチザンだったクリロは英雄扱いされるが、納得できず除隊し故郷へ帰るのだった。
    後半はいささか観念論的な会話が多く、漫画らしさを失うが概ね納得できる展開だった。ドイツ人の野蛮さやユーゴ人の身勝手さに描いてて辟易したのかも知れない。まぁ舞台はユーゴスラビアだけど、日本人の戦争にも関わる部分だから筆も重くなろう。
    それよりも今回初めて収録されたという短編「抵抗の詩」というのが、いかにも坂口さんらしい漫画でこっちの方が「石の花」よりもグッと刺さった。同じくナチスのユーゴ侵攻の話で史実に基づくが、写実的な「石の花」と違いマンガチックな描写。出てくるのはイメージ上の戦車とかナチスドイツだけど、やってることはほぼ変わらない。非道な命令を拒否するドイツ兵を上官が射殺するシーンもある。違いは絶滅収容所エピとマイスナー大佐の不在か。
    復刊が企画された時はまだウクライナ侵攻は始まってなかっただろうけれど、同じ様なことがまた起こっていると言う、情けない人類史でもある。

    星★★★★

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