「この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」
配給:松竹/KADOKAWA/映画このすば製作委員会
制作:J.C.STAFF
原作:暁なつめ/三嶋くろね
脚本:上江洲誠
監督:金崎貴臣
2019年8月30日封切り
映画の日である。映画ファンとしてはタランティーノ監督の新作を是非にも観ないといけないところだが、疲れているので「このすば!」を観てきた。この選択は間違ってないと思う。
TV版では何度も建前や綺麗事をかなぐり捨てた本気の殴り合いの中で、ほのかな友情を育ててきた本作。劇場版でも然りであった。
冒頭、いきなりクエストに失敗し、借金の重さと悪罵に耐えながら責任を擦り付け合うカズマさんチーム。そこへめぐみんの自称宿命のライバルゆんゆんが訪れてカズマに子作りをせがむ。上々のアホな滑り出しだ。聞けばめぐみんとゆんゆんの生まれ故郷、紅魔の里が魔王軍の襲来を受けていると言う。族長でもある父、ひろぽんの身を案じて故郷へ帰るゆんゆん。強い魔力を有する紅魔族が魔王軍ごときに遅れを取るわけがないと、強がるめぐみんを煽り立てその後を追うカズマさんチーム。そこで見たのは平原を埋め尽くす女オークの群だった…。
このネーミングからクエストの中身まで真面目に働いているのが馬鹿らしくなる脱力ぶりだが、この話の魅力はそんな世界でも市井の人々が事細やかに暮らしている姿だ。今回は紅魔の里で暮らしていためぐみんの前半生が描かれる。貧しいながらも二人の娘を愛を持って育ててきたひょいざぶろーとゆいゆい夫婦、カズマが自分らより数段上の金持ちと知るとめぐみんを生贄に差し出そうとする。それにまんまと乗っかるカズマ。美しい二段オチだ。そして魔王軍幹部のシルビアが魔力で勝る紅魔の里を襲う理由とは…。
以下にネタバレあり。
紅魔族が無力化された後に立ち向かえるのはゆんゆんとめぐみんだけになった。カズマの作戦に乗って対シルビア戦に臨もうとする時、その分の悪さにおびえるめぐみんをゆんゆんが励ます。「そんな無茶な作戦を立てられるのも、カズマさんがめぐみんの爆裂魔法を信じているからですよ。なのにめぐみんは自分の魔法を信じられないの?」爆裂魔法を極めるためにステータスを全フリしてきためぐみんだ。ここで奮い立たねば女がすたる!
…だが自分が満遍なく上級魔法を使える上位のウィザードなら、カズマを危険な目に合わさずに済んだという負い目から、ランクアップを申請するめぐみん。若い頃のロマンを捨てて大人になろうとするめぐみんにカズマが取った行動とは。…泣けた。面白かったです。ありがとうございました。