「ガンダムビルドファイターズ」を観了する。

うむぅ。実に面白かった!燃えた!

放送前の番宣では「血迷ったかバンダイ」「ネタ切れか黒田」とか
「プラモ狂四郎アニメ化かよ!」など散々な云われようだったのに、
いい具合に下馬評を裏切ってくれましたッ。

制作:サンライズ、監督:長崎健司、シリーズ構成:黒田洋介。
長崎さんはこれが初監督作品。脚本も手がける黒田さんは00ガンダム
もこなしたベテラン。

シリーズを並列して様々なモビルスーツが対戦するアイディアは
ターンエー的でもあるし、スーパーロボット大戦的でもあるし、
決して目新しいモノではない。
でもそこはバンダイが長年培って来たガンプラという資産と
それによる対戦と云う仕掛けが何重にも楽しめる展開を用意してくれた。

シリーズ当初ではモデラーとして充実するも、対戦で弱い主人公
イオリ・セイを通して世界観を納得させ、ガンプラにもガンダムにも
興味のないレイジの登場で対戦モノの醍醐味を描く。

モビルスーツにはそのデザインや能力にパイロットのキャラクタが
反映されている。モデラーとしての熱意と選択が物語にドラマを作る。

序盤で主人公たちの教導役ランバ・ラルが云う。
「所詮ゲームだ、いつ辞めたっていいんだよ。でもだからこそ真剣になれる。」

シリアスが圧倒的なガンダムシリーズでは対戦は文字通り命のやり取りで、
敗北すれば死ぬ。物語と云う運命に翻弄され悲惨な目に遭うキャラクターたち。

生身の格闘と違い、戦っているのはあくまでプラモデル。
戦場の風がしないと云う批難はここでも有効だけど、それだけに戦略、展開、
技能、センスの切磋琢磨に集中できる。

大の大人が真剣に集中するゴッコ遊び。
先のランバ・ラルもそうだが本編では不幸な出会いでしかなかったキャラクタが
何人かここにも登場している。
圧巻だったのは第二十三話「ガンプラ・イブ」。
三代目名人カワグチとの決戦を先に控えて、セレモニーに興じるふたり。
会場にはガンダムシリーズの各キャラクターの姿が。
本編では憎み合ったり殺し合ったりした彼らがガンプラ作りに勤しむ姿はまるで
ヴァルハラのようだった。
親の愛を得られなかったVガンダムのウッソ・エヴィンが両親に囲まれ、
互いに憎み合って戦場に爆散したF91のカロッゾ・ロナが娘や妻に向ける優しい眼差し。

ソレを指している訳ではないが、名人が語る「いい景色だ…」のセリフ。
これまでの熱闘が物語に昇華した瞬間でした。

熱い!

結局名誉や誇りを重んじるレイジの正体やアリアンと地球の関わりも不明なまま
だったけど、往年の活劇では他所からやって来た風来坊はニヒルに去るのみなのだ。
そこで全ての問題の解決と誓約を叶えて。

ドラえもん然り、ブースカ然り、そしてシェーン然りなのだッ。


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