記事タイトル:彼岸と此岸 


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お名前: ななかん   
「暑さ、寒さも彼岸まで」とか申しますな。
秋分、春分をはさんだ前後三日間をお彼岸と称するようです。
祖霊を敬い、日頃の行いを振り返る日とされております。

一見、仏教行事のようですが日本以外の仏教徒に、このような習慣はないとのことで、
宮中にもその痕跡を残すこの習慣がいつ頃から定着したのか、聖徳太子が始めた、とか
平城天皇が始めた、とかいろいろ云われておるようです。

今日も雑司ヶ谷墓地はお参りに来る人でひそやかに、賑わっております。
彼岸とは極楽浄土のことで、成仏したり開悟した人がたどりつく場所。
此岸とはこの世のことで、煩悩にまみれ苦痛に満ちた世界とのこと。
西洋でもこの世は煉獄とかいって、やっぱり良いようにはとらえていないのが、
よっぽど嫌なことばかりが多かりしが常なる事かな、と思われ。

墓石にも大事に扱われて、きれいに掃除が行き届いているところと、
立派な巨石を用いているにも関わらず、草ぼうぼうで烏のふんまみれな
ところなどあって、親族の敬い具合、いかがなものかと無情を感ずる今日この頃。

「指輪物語」でもローハン国のセオデン王が、歴代の王の眠る墓地を前に、
己のふがいない治世を嘆く下りがありました。(なかったかな?)
ペレンノールの合戦でナズグルの凶刃に倒れたとき、抱き起こしたローハンの乙女
エオウィンに「祖霊に恥ずかしくない戦いが出来たろうか」とたずねるのであります。
(他の部下ならこのような態度は露とも見せぬ偉丈夫でもある。)

靖国神社に集う帝国軍人たちの胸に、去来するのもやはり死んだ戦友に恥ずかしくない生き方を
しているか、という感傷なのでありましょうか。
であればこそ、御霊を貶めるような発言や態度は許しがたいと。

いい奴はみんな先に死ぬのであります。

いいペコポンは死んだペコポンだけなのであります。

[2004年9月24日 16時59分28秒]

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