記事タイトル:割れ窓理論の話をしようか。


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お名前: ななかん   
割れ窓理論と云うのは端的に言うと、一枚ガラスの割れてるところは
いずれ全部割られると云うもの。
それの応用で最初の一枚をすぐに修理すれば窓は割られないと云う考え方。
ゴミだらけのところにゴミを捨てるのと掃除の行き届いたところに
ゴミを捨てるのでは心理的抵抗に差があるという観察から生まれた。
些細な犯罪でも見逃せばより凶悪な犯罪を招く。
よって凶悪な犯罪を未然に抑止するには些細な犯罪を取り締まればいい。
90年代にニューヨークで実証実験が行われ、割れた窓を直す事によって
犯罪の発生率が実際に下がったとする報告が得られている。

で、近頃日本人の道徳や遵法意識が堕ちているのは
道路交通法が守られていないからだと云う人が居て、
普段制限速度無視、標識無視、違法駐車がのさばる
大阪の現状を見るに、あ結構言えてるかも、と思った
ものの、よく考えたらなんか怪しい。

確かに道交法は破られやすいし、心理的抵抗も低そうだ。
そう云う法を破り慣れてる人はもっと悪質な違法でも犯し
そうな気はする。所謂経験則と云うもので納得してしまい
がちだけど、現実に軽微な犯罪と悪質な犯罪に相関関係は
あるのだろうか?

理論などと付いているから鵜呑みにしがちだけど、
窓が割られる事と犯罪率の低下にはもっと別の理由も
考えられはしないか。実際先のニューヨークでの実験でも
検証を行った地域以外でもその年は犯罪率が下がっていた
と云われている。経験的に正しい事は科学的に正しい事と
イコールで結べない。割れ窓理論を考えた人はもっと
「窓を直した」ことが「割られるのを防いでいる」と
ハッキリわかる方法を考えんといかんのではなかろうか。

経験的にありそうだ、と云うのも確かに大事。経験則が
あったればこそ、科学する心も生まれるのだけど、やはり
経験則自体が科学的考察にさらされないと。盲目的に
信じるだけなら中世の闇を笑えない。

以上、割れ窓理論の話でした。

[2010年10月28日 13時35分]

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