記事タイトル:「満月をさがして」を再見する。  


下欄へ  
お名前: ななかん
泣けた。
なんていい話なんだ。

原作は21世紀初頭に(こう書くとでかいな)りぼんで連載されていた種村有菜さんの漫画。
そっちは読んでいないのだが、同時に進行していた為、アニメ版より更に突っ込んだ内容に
なった様子。
それのアニメ版で、スタジオ・ディーンで朝方に変則的にやっていたもの。
監督は加藤敏幸さん。もとアニメーターで近頃では「シムーン」の演出などされておられる。
企画段階で色々あったらしく、あまり恵まれた制作環境ではなかったようだし、成功とも云えなかった
ようだが、いずれ正しく評価される。
おそらく変身魔法少女が歌手になる最後の作品。

神山満月(こうやまみつき)は歌手を夢見る小学六年生の女の子。
幼い頃に両親に死に別れ、養護施設で育つがそこで知り合った少年、英知(えいち)に励まされ、
歌手を夢見るように。だがその英知とも離別し、今は母方の祖母にひきとられている。
祖母、神山文月(こうやまふづき)は厳格な人で満月にも厳しく接する。
それはのどに疾患を抱えていて、病弱な満月の身体を心配しての事。
みんなと同じペースで生活出来ない満月は家でも学校でも一人になりがちだが、英知の励ましを
胸に歌を生き甲斐としていた。
なのに、のどの疾患は満月に致命的で、声を失わなければ助からないかも、と主治医の若王子先生の診断。

そんな満月の前に死神を名乗る若者が現れ、お前の命はあと一年で終わると告げられる。

ふ、不幸てんこもり、特盛りに玉付けてー!

歌うために手術を拒否した満月は、死神タクトとめろこの助力を得て、
歌手フルムーンとしてデビューする。アメリカに住む英知にその歌声を届ける為に。

過剰だ。あまりに過剰な不幸の連続。にも拘らずそれを悲嘆しない満月が健気で…。
作劇としては古い悲劇の定番だが、救済がけして奇跡に頼らない、人間讃歌があまりに
美しい。最後までブレがなかった。素晴らしい。

[2007年1月14日 23時15分35秒]

アニメ記事一覧に戻る
記事一覧に戻る