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「絶対可憐チルドレン」4巻 |
調子よく続刊。週刊連載ならではの脚の早さ。
は結構なのですが、やはりあちこちアラが出るのも週刊ならでは。
それでも大筋ははずさないのが、何度も連載を持ったプロの手際。
前巻でいかな強大な力でも指揮系統がしっかりしていないと、役に立たない
ということを実証した上で、連携のとれたチームワークが実力を倍するのを
描き、その上でそれが脅威となった時の危険性を匂わせる。
それもこれもESPが発現しない普通の人々が圧倒的に多数であることから
起こる齟齬。エスパーが数の上でもその他を圧倒するようになれば、ESPを
起こせないのは疾病扱いになるわけだ。
「奥さん、お聞きになって?ナカダさんのご主人、テレパシーひとつ満足に
おできにならないんですって!」
ESPを使えないことが外聞を憚られる恥ずかしいことになり、社会の寛容のなかに
ひっそりと暮らす事になる。
そうなるより前に徹底的な対立を謀る兵部少佐の思惑は、どうも私怨から発している
らしいので、よしんば彼が現在最高のエスパーであっても排除せざるを得なくなる、
という図式はよい。
でも出来ればわかりやすいソッチではなくて、結局数の問題、社会という器の問題
なのだよ、ともっていっていただきたい。
だってわかりやすいソッチは先人が何度も描いているぢゃないの。
結局エスパイかよ、スランかよ、とか云いたくないし。
今の読者はエスパイもスランも知らないかも知れませんが、知られてなければ繰り返してもよい
というわけでもないでしょう。
せめてエヴァンゲリオンなみの換骨奪胎がないと、世に問う意味がありませんよ。
換骨奪胎ってすごい言葉だな。いま頭にラヴクラフトがよぎりましたよ。
[2006年3月18日 9時55分44秒]