記事タイトル:思いつき覚え書き その八 


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お名前: ななかん   
遭難する豪華クルーザー。
羅針盤を失い測天儀を壊し、通信もままならぬ中、今まさに大海で己の居場所も分からない。
乗り組みは航海のプロにはほど遠いブルジョア家族。
荒天をあなどっての遭難だった。
男どもはそれでも懸命の復帰作業を試みるが、何ぶん素人のこと、些細な
思い込みからドロ沼へとはまっていく。
はかどらない帰還作業に八つ当たる女性陣は、実のところ無能力者で料理すら
満足にこしらえられない。
漂流、飢餓の恐怖がやがて人々の心を蝕んでいく。

なにもしていない女が、等分の食料を要求するのはおかしい。
むしろ役に立たない奴は積極的に死ぬべきだ。
何故かこんな議論が起こってもそれを異常とは思われなくなってくる。

「カルネアデスの船という原則がある。生死の境に居る者の、生き残るための
犯罪は罪に問われないのだ。」
聞いた風な理屈を盾に船内に血なまぐさい対立が起こる。

食料と水の確保。
女子供を先に殺すべきだ、とする一派。
「私は死ぬ時は紳士でありたい。」
極限状況を目の前にしても理性を信じる実業家。
まさに一触即発の場面で現れる救援機。
何事もなかったかのように生還を歓ぶメンバーだが、
手に手に得物を握った後ろめたさが、互いの顔色を伺わせる。

もうひとつ何かオチをつけないと、話がまとまらないが、
重要なのは「無能な奴は死ね」という議論の場なので、ここまで。
[2006年7月15日 13時33分33秒]

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