記事タイトル:光なき者共の巣 


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お名前: ななかん   
NEC など、結合制御が可能な量子ビットの実証に成功、世界初
5月7日16時14分配信 japan.internet.com

NEC、独立行政法人科学技術振興機構(JST)、独立行政法人理化学研究所(理研)の
3者は7日、量子コンピュータの実現に向けて、ビット間結合を制御可能な量子ビット
の実証に世界で初めて成功した、と発表した。

量子コンピュータを実現するには、その構成要素である量子ビットの量子状態の
制御技術と、量子ビット間の情報のやり取りをダイナミックにオン/オフするビット間
の結合制御技術のふたつが必要となる。

これまで3者は、集積性に優れた固体素子を用いた世界初の量子ビットの実現や2量子
ビット制御の成功など量子ビットの量子状態制御技術を確立してきた。

今回の成果は、3者が新たに開発した可変式結合回路によるもので、これにより、量子
アルゴリズムに従った量子演算が初めて可能となり、量子コンピュータ実現に向けて
大きな前進となる。

量子コンピュータは、飛躍的に高い計算能力を持つ将来の計算機として期待されている
もので、量子アルゴリズムに従い、複数の量子ビットの状態を時系列的に外部から変化
(制御)させることで計算を行う。固体素子では、個々の量子ビットの物理的な配置が
固定してしまうなどの理由で、量子ビット間の結合の制御を量子ビットの量子状態を乱
さずに行うことは難しかったが、今回3者は、結合を制御するメカニズムとして、量子
ビット間の結合を新たなもうひとつの量子ビットを用いて実現するという、オリジナル
な原理を考案した。

回路パラメータを最適化することで、結合用量子ビットを、量子ビット間の磁気結合を
オン/オフ切り替えできる非線形な磁束トランスとして動作させる。オン/オフ切り替え
は、マイクロ波を入力するだけで可能で、量子ビットの状態を乱すことなく結合を制御
できる。

また、結合回路は量子ビットの形式をとっているため、この結合制御量子ビットを用い
た量子コンピュータ回路の物理的構成は量子ビットの繰り返し構造となり、ビット数に
対してスケーラブルな回路とすることができる。

今回は、以上の結合用量子ビットの動作原理・回路設計・物理配置などの結合制御コン
セプトの実証を目指し、ふたつの量子ビットとひとつの結合制御用量子ビットからなる
最小単位の回路で、ビット間結合を制御しながら量子ビットの制御を実現することに成
功した。

今後3者は、今回作製した量子回路構成方法をもとに、量子ビットの集積化と量子アル
ゴリズムの実証に取り組み、量子コンピュータの実現を目指す、としている。

なお、今回の研究成果の詳細は、米国の科学雑誌「Science」(5月4日号)に掲載され
た。

解りにくいんですけど、今迄に量子デヴァイスというのが実現していたのが、
それの回路化に成功したので、量子コンピュータの実現に近づいた、という
記事らしい。
量子デヴァイスというのは、普通のコンピューターが電荷のあるなしでON/OFF
するのに対して、量子の状態(左巻きか右巻きか)でON/OFFを決めるものらしい。
これまでは量子状態を崩さずに回路を結合させることが出来なかったそうだ。
これにより、演算のスピード、正確さ、集積化が格段に上がる。

いやま、理屈では納得するのだけれど、腕時計サイズのパワーマックとか
云われてもなかなか。
アポロの月面着陸を信じない若者と同じ気分。

「私の立っているこの大地が動いているなど信じられますか!」

暗闇はどこにでもその顎を開けているものだ。

[2007年5月8日 8時16分18秒]

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