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| 「トイストーリー3」 |
「トイストーリー」と云えば、ピクサーを世に知らしめ、
3DCG映画を成熟させたマイルストーンムービー。
いわばピクサーの看板、ジブリスタジオにおけるトトロの様な
もの、と思っておりましたが今作は監督からジョン・ラセターが降板。
変わりにメガホンを執ったのは草創期のメンバーながら、これまで
一本立ちの監督作品がなかったリー・アンクリッチ。
普段遊んでるオモチャが知らない所で動いてたら楽しい！という
ベクトルのみで動く映画ですが、一作目ではオモチャの世代交代、
二作目ではヒトとオモチャの関係などを描き、ゲーム世代より前の
大人の感涙をもむさぼって来ました。
今作ではとうとうオモチャからの卒業です。
二作目でも捨てられたオモチャの悲哀がありましたが、それが今度は
ウッディやバズの問題としてメインに。
子供から相手にされなくなったオモチャはどんな思いだろう。
映画はそこを丹念に拾って行きます。
消耗品だ、替わりはいくらでも居る、とか話はオモチャのことですけど
とても人ごととは思えませんッ。
まさに今作られるべくして作られたストーリー！
そしてあの切ないながら救いのあるラストシーンッ。
往年のアメリカ映画が綴って来たスタンダードを見るような思いです。
ピクサーの、というかトイストーリーの特徴はCG技術、アニメートの
確かさもさることながら、この練り込まれた脚本です。
誰に見て欲しいのか。子供達に。というのであれば、大人のペシミズムは
捨て去って、この世は生きるに値すると、高らかに謳う。
そしてそれは嘘でもなんでもないという断言。
この視線の確かさ。
これこそがプロの仕事です。
自分はコレやりたい、だけなら同人でいい。
今現在では「借りぐらしのアリエッティ」の方が人は入っている
ようですが、出来の差は一目瞭然です。
売れる売れないは世相との関連もあるので、いい作品だから売れるとも
限らないのですが、モノをつくる人なら物差しはこちらにして欲しい。
素晴らしい映画でした。
同時上映の「昼と夜」も良かった。
逆説的ながら手塚作品ぽくて。
ああ、ピクサーに「きりひと讃歌」作って欲しいな。