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「ローレライ」 |
面白かった。
映画として出来がよいか?と問われると否、と答えざるを得ないおそまつさではあるが、
少なくともここにはイメージに対する愛がある。(愛…、愛はエエのぉ…。)
どの画面も気張り過ぎなのだ。あれもこれもと欲張るから、本当に見せたいシーンが
埋没してしまう。そしてイメージを優先するあまりキャラクターの影が薄くなる。
日常的に見栄えを意識する民間人など、そうはいない。
日米和平交渉が頓挫するかしないかなど、物語の急所なのにあまりにも安い流し様。
昭和の情景が目に見えないから、テニアン島沖海戦の嘘がしらじらしくなる。
軍の指導部に「腹かっさばいて詫びろ。」とか「大人が始めた戦争のつけを子供に拭かせて」
とか戦後世代の誰もが思う気持ちをスパーンとまんま語らせているにも関わらず説得力を得ないのも
飯食ったり、寝たりといった普通の情景に手を抜くからである。
ただ主題があまりにも明瞭簡潔なので、訴求力はあるのではないか、とも思える。
「責任を取らない大人が語る未来に、なんの希望がある。」
今、大人である我々や上の人たちには耳の痛い訴えではある。
ちなみに最後の砂浜は七里ヶ浜海岸である。なんでフロリダでないかはおして知るべしである。
[2005年3月11日 9時35分24秒]