記事タイトル:「マリア様がみてるー卒業前小景」を読了する。 |
卒業前の一日にもう一本はさむとは。
「マリア様がみてるー卒業前小景」
「お釈迦様もみてる」とかいうのもあったけど、話に関わってくるのかしら?
しかし、うまいなぁ。
話の持って行き方が。テニス部と美術部のスールの行方なんぞまさに作劇。
「この人とスールになれて本当に良かった。」
ひと言に表せばこれだけの話なんだけど、皆が皆望んで得られる関係ではない。
尊敬できる、心から信頼できる、年代の違う友を多感な高校時代に得られた、
これは何ものにも代え難い幸運だろう。
そんな奇跡をさらっと描いている。
福沢祐巳は主人公だから波瀾万丈なんじゃない、同じ様な事は誰にでも起こりうる、
そう思わせるやさしさがこの作品にはある。
白薔薇さまの藤堂志摩子はいろいろな事情で白薔薇を受け継いだ時、妹を持っていなかった。
つらかったのではないかと案ずる現プチスールの二条乃梨子に
「でもわたしには両側から支えてくれる友達が居たから。」
なんのためらいもなくそう云えるのは若さなのか、老成しているのか。
なんにしても物語上明日は三年生の卒業式なのじゃ。
伏線も引きまくったし、いよいよお別れかのう、シクシク。
[2008年10月9日 13時15分15秒]