SF短編集コンプリート・ワークス05「夢カメラ」
ビッグコミックススペシャル
著者:藤子・F・不二雄
出版:小学館
初版:2023年8月2日
購入:2024年2月26日
価格:1111円(税込)
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読了日:2024年4月9日
カメラを小道具に使った短編集。カメラ縛りが功を奏してかアイディアが効いた話が多い。
「タイムカメラ」読んだことない。過去を写せるカメラ。恐喝に使えると企んだが、余計なことでフィルムを使い切る。小手調べ感。「ミニチュア製造カメラ」読んだことない。引退した敏腕社長、無趣味を持て余して怪しいセールスマンから3Dカメラを買う。被写体の内部まで忠実に写しとるカメラでジオラマ作りを始めるが…。ちょっと人情噺が入る。「値ぶみカメラ」読んだことない。モノの値段を測るカメラ。人の価値とは…。ちと嘘っぽいな確かに。「同録スチール」読んだことない。撮られた当時の周囲の音を再生できるカメラ。自分の子供時代の写真から親の愛を知る。通学路ですれ違う女子への告白に使う。これもアイディアの羅列で終わったな。「夢カメラ」読んだことない。文字通り夢を写すカメラ。秘められた願望が写ってしまい離婚の危機に。そこへセールスマン氏の提案とは。藤本氏の女性観って夢がないな。「コラージュ・カメラ」読んだことない。アイディアそのものは今で言うAIフェイク画像だけど、政治汚職を暴く道具になるところがこの当時を思わせる。「懐古の客」読んだことない。セールスマン氏がこの世に取り残された経緯を語る。お、そういえばこの話には不思議カメラが出てこない。「四海鏡」読んだことない。世界を写せるという触れ込みのカメラ。セールスマンのヨドバ氏、腹黒い経営者に競合させて一攫千金を夢見るが…。セールスマンって藤子不二雄両氏にどんな因縁が?「丑の刻禍冥羅」読んだことない。写った被写体に害を与えるカメラ。普通に考えれば戦争の道具だろうけど、そこは個人に限定するという、インパクトがちと弱い。「白亜荘二泊三日」白亜紀へ恐竜見物。大方の懸念通りに歴史を変えるが、必然であったとも言える。ジュラシック・パークの九年前。「福来たる」読んだことない。夢のない生活に辟易するサラリーマン氏の元へ福の神が訪れるが、過去から来た神には現代人の生活はパラダイスに思える。なろう系の始祖。「求む!求める人」読んだことない。今では無用の長物の代名詞、百科事典を売り歩くセールスマン氏。腕利きの同僚は需要を掘り当てる勘が大事と実践するが、朴念仁の自分には通用しそうもない。そこへ「需要探知機」なる機械を売りに来たセールスマンに見本を渡されて…。セールスの「民主化」か。「ある日……」読んだことない。映像作家同人。短編はキリっとまとまってないと!と語る彼らの作品はアイディアに富んでて面白いが、同人の一人は問題意識がないと怒りだし…。伏線も予感もなしに起こる世界の終末。YouTubeとかもある意味、映像の民主化と言えなくもないな。ドローンとアイフォンで大概のことはなんとか出来る。むしろ映像作家を目指す若者がYouTubeに作品を上梓すらしないとかないだろう。来たるネット時代を思わせること二年前。
星★★★★