「この世界のさらにいくつもの片隅に」を鑑賞する。

「この世界のさらにいくつもの片隅に」
「この世界のさらにいくつもの片隅に」
配給:東京テアトル
制作:2019「この世界の片隅に」制作委員会
原作:こうの史代
脚本:片渕須直
監督:片渕須直
2019年12月20日封切り

前作「この世界の片隅に」では泣く泣く切ったという遊郭のリンさんのエピソードを復活させた「さらにいくつもの」を観て来ました。
そうそう、俺の知ってるすずさんはこういう人、みたいな印象です。ただおっとりしてるだけでない、どろどろとした情念を抱えて、それでも毎日を生きている。
六月二十二日の呉港爆撃の後でも八月六日の原爆地獄の後でも、八月十五日の終戦の詔の後でも、世界は終わったかに見えて情け容赦なく続いていく。前作ではこの辺がボンヤリしてていまひとつ乗れなかったけれど、今作は漫画版の印象にかなり近い。無くした右手のエンディングも今回は飲み込めた。出来ればすずさん幼少期の怪異な体験に説明がついてしまう後半部分とか、B-29が現れた事によって人類が初めて目にする成層圏の飛行機雲の解説なんかも盛り込んで欲しかったけど、現状で三時間に迫る大作に、劇場での回転を考えると限界かもしれん。
映画版ならではの衝撃的な空襲場面は良かった。あのリアリティ、腹に響く爆撃の轟音。米軍の爆撃機がギラッと光る描写は漫画版では望めない。対空砲弾の破片が農地をえぐる描写もいい。
ありがとうございました、片渕監督。面白かったです。


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