「トイストーリー4」を鑑賞する。

画像

「トイストーリー4」
「トイストーリー4」
配給:東宝
制作:ディズニー・ピクサー・アニメーション
原作:ジョン・ラセター/アンドリュー・スタントン
脚本:ステファニー・フォルソム/アンドリュー・スタントン
監督:ジュシュ・クーリー
2019年7月12日封切り

ピクサー自慢のマイルストーンムービー「トイストーリー」が帰ってきた。実に九年ぶり。ジョン・ラセター無き後、あの傑作「トイストーリー3」の正統な続編だ。「トイストーリー3」があまりに見事な映画だったので、なんで今更感は増し増しだったが、なんのなんの。3が綺麗事に思えたひねくれ者には打ってつけの続編だろう。

映画は3ではすでに姿を消していたウッディの恋人、陶器人形のボーがどうして別れることになったかの顛末から始める。飽きやすく身勝手なこどもたち。それはそのままアンディからおもちゃを託されたボニーへの写し絵となる。
ウッディは飽きられかかっていた。だが感受性豊かで引っ込み思案なボニーを見守ることに躊躇はない。それが自分の存在意義だと信じて疑わない。
ある日ボニーは幼稚園の工作でフォークのおもちゃを自作した。フォーキーと名付けられたそれは他のおもちゃ同様に意識を持つ様になるが、自分の本分は使い捨て食器だと思っている。スキあらばゴミ箱に戻ろうとするフォーキーを「お前はボニーお気に入りのおもちゃなんだぞ!名誉なことなんだ!」と諭すウッディ。バズの時とは逆だ。スペースレンジャーであると信じているバズ・ライトイヤーを「単なるおもちゃなんだ!空なんか飛べない!」と一番人気を持って行かれて嫉妬していたウッディ。それが今は…。
おもちゃである事に納得できないフォーキーはついに脱走してしまう。追いかけるウッディ。この逃避行でふたりは和解するが、帰る途中で見かけたアンティークショップに懐かしいボーの照明を見つけて潜入することに。そこに居たのはウッディと同じアンティークトイのギャビー・ギャビーだった。

この後映画はアッと驚く価値観の転換を示唆して終わる。
それは今までの123を否定するものではないが、観客にある種の救いを用意する。

まさしくバズの決め台詞「さぁ行こう!無限の彼方へ!」なのだ。


関連記事
「トイ・ストーリー3」を鑑賞する。


映画記事一覧に戻る

「天気の子」を鑑賞する。

画像

「天気の子」
「天気の子」
配給:東宝
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
原作:新海誠
脚本:新海誠
監督:新海誠
2019年7月19日封切り

「君の名は。」で新境地を開いた新海監督の新作だ。「雲のむこう約束の場所」を観たときの不満をふつふつと思い出したが、手管の多彩になった監督には問題では無かった様だ。なによりあの頃とはスタッフが違う。
異常気象で雨の降り止まない東京。田舎から逃げてきた少年森嶋は新宿で暮らすうち、局所的に天気を変えられる少女天野と出会う。貧しいふたりはその能力でお金を稼げないかと画策するが…。

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨に降り込められた新宿がまるでブレードランナーの様で。ツテを持たない子供に冷たい大人たち。持ち出したお金もあっという間に底を尽き、雨をしのぐ屋根もない。ツラい…ストレスの溜まる展開。救いは森嶋があまり深刻に落ち込まないところだ。どうしようもなくなる前に大人を頼る賢明さもある。須賀や天野との出会いは新宿での暮らしをかけがえのないものと思わせるには十分だったろう。にも関わらず…。
映画では雲を晴らせる天野を晴れ女としてその能力に焦点があたるが、むしろずっと雨ばかりになる天候の方が大問題なのでは。未知の自然現象、雲の上の巨魚の群れを描写しておいて、その解決に話が行かないのは視点が無力な子供である二人に向くから。視野も狭いし、やれることも限られてくる。周囲の大人は常識を振りかざすだけで助けにならない。そりゃ天野を救う為なら東京の一つや二つは水没させるだろう。

人間はずっと雲の晴れない時代を一つ知っている。数十万年に及ぶその間に滅びかけた。第四氷河期という。雨の続く気象を異常だと思うのは人間の都合で、たまたま人類の発展したこの数千年が晴れ間の多い間氷期だっただけだ。このシナリオがまだ身勝手な子供のわがままに思えないのは、そういう背景にもきっちりと筆を取っているからだろう。

これを斬新と取るか、二番煎じと取るかは、観た人のヲタク度によると思う。これが広く一般に受け入れられたら、世の中はちょっと変わったと思えるかな。面白かった。


映画記事一覧に戻る

「ゴジラ KING OF THE MONSTERS」を鑑賞する。

画像

「GODZILLA KING OF THE MONSTERS」
「GODZILLA KING OF THE MONSTERS」
配給:東宝
制作:レジェンダリー・ピクチャーズ/ワーナーブラザース
原作:マックス・ボレンスタイン/マイケル・ドハティ/ザック・シールズ
脚本:マイケル・ドハティ/ザック・シールズ
監督:マイケル・ドハティ
2019年5月31日封切り

エドワーズ版ゴジラの続編だ。
間に「キングコング髑髏島の巨神」というのがあるらしいが観ていない。
今回は何故か当のギャレス・エドワーズが一切関わっていないが、映画は東宝怪獣映画への愛に満ち溢れた傑作だった。このマイケル・ドハティという監督は全く知らないが怪獣バカと言う点ではギャレス以上の大馬鹿だろう。

以下ネタバレ有り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
話はゴジラとムトーが決戦した晩から始まる。
あの対決に巻き込まれ離散したラッセル一家が今回の主役だ。
世間には大怪獣の存在を知ってて隠していたモナークへの批判があふれているが、実はモナークが監視している大怪獣はムトーやゴジラだけではなかった。確認されているだけで17体。ほとんどは休眠状態だが、それを叩き起こして怪獣大戦争を引き起こそうとモナークに襲いかかる環境テロリストが現れる。
テロを率いる元軍人のジョナが狙うのはラッセル夫妻が製作した怪獣を音波でコントロールする装置オルカ。これを使って南極で発見された最大の怪獣キングギドラを起こそうというのだ。時同じくして芹沢博士が監視していたゴジラが数年ぶりに活動を開始、向かうは南極だ。ギドラの復活を感じたのだろうか。芹沢とモナークはこれを阻止できるのかッ!

…ラッセル夫妻はとくに活躍しませんね。まぁ奥さんの方は実は怪獣大戦争の立案者だったという、悪い方で話を引っ張りますが。ご主人はねぇ…。酒に溺れてたというだけあって陰が薄い。モナークや軍にたてついて娘探しに奔走しますが、ゴジラを助けようとしているモスラの姿を見て考えを改めます。浅はかな人ですネ。二人の娘マディソンは出来物のお母さんにくっ付いていますが、ラドンを起こすのに地元の市民を見殺しにしたお母さんに疑問を抱きます。
そんなラッセル一家の葛藤を横糸に、描かれるのは大怪獣の大決戦です。今回はECMをかけてくる様な掟破りな生物も居ないので、米軍大活躍かと思いきや、あまり思い切った飽和攻撃を行いません。行えないのですが、怪獣決戦に水を差したくなかっただけなのかも知れません。

ドハティ監督は本当に怪獣映画が好きな様で、東宝のみならずガメラやガッパなどからも引用を行なっていて、それが盗んだというより明らかなリスペクトなので、日本の特撮映画がこれほど愛されているのだなーと感慨に耽りました。

これが逆なら、日本の映画人は欧米のSF映画にこれほどのリスペクトを行えているかと。
アニメなら十分に恩返し出来てそうですけどね。

いや面白かったです。ありがとう、マイケル。


映画記事一覧に戻る

「アート・オブ・スパイダーマン:スパイダーバース」を読了する。

画像

「アート・オブ・スパイダーマン:スパイダーバース」
「アート・オブ・スパイダーマン:スパイダーバース」
タイタンブックス
著者:ラミン・ザヘッド
出版:SPACE SHOWER BOOKS
初版:2019年3月1日
購入:2019年4月8日
価格:3996円(税込)


漫画記事一覧に戻る

劇場版「若おかみは小学生!」アートブックを読了する。

画像

「若おかみは小学生!」アートブック
劇場版「若おかみは小学生!」アートブック
ポストメディア編集部
著者:岡本大介
出版:一迅社
初版:2019年2月20日
購入:2019年4月2日
価格:3300円(税込)


漫画記事一覧に戻る

「スパイダーマン:スパイダーバース」を鑑賞する。

画像

「スパイダーマン:スパイダーバース」
配給:東宝/SONY
制作:SONY/パラマウント
原作:スタン・リー/スティーブ・ディッコ
脚本:フィル・ロード/ロドニー・ロスマン
監督:ボブ・ベルシケッティ/ピーター・ラムジー/ロドニー・ロスマン
2019年3月8日封切り

今日は「スパイダーバース」を観てきたのだが…。
エクセルシオールッ!
最高ッかよ!
以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正調ヒーロー譚である!
「キックアス」の様に斜に構えた感じは一切ない!
無力でどこにでもいる普通の少年があるきっかけでヒーローへの一歩を踏み出す!
ヒーローとは!鋼の肉体や大金持ちにのみ宿るこころのあり様ではなく、そうでありたいと強く願う姿勢!無力でひ弱で臆病な自分の中に斯くありたいと確固たる信念を宿すこと!
それこそスパイダーマンが昔から描いていた姿!
それを今!ここで!なんの衒いもなく描き尽くして居る!
なんという素晴らしさ!

映像と音楽のヒップホップさもさることながら、よく練られた脚本の持つ力がここにはある。父と息子の関係、甥と叔父との関係、悪党が心に宿す悲しみの影。

正体を知られた叔父が最期に残す言葉。
「お前は家族の誇りだ。ちゃんと真っ直ぐに生きろ、真っ直ぐにだ…」
家族を救えなかった無力感に打ちのめされる主人公モラレス。
復讐の怒りに燃えるがせっかく得た超常の力も満足に使えない。
師と仰ぐBパーカーに「どうしても行きたいなら俺を倒してみろ!」と煽られるも手もなくダウン。並行世界ですでにスパイダーマンとして活躍してる他のスパイディに君はまだ準備の出来ていない子供なんだと諭される。
だが父デイビス巡査の壁越しの独白に、怒りだけではない、ヒーローとしての決意を漲らせる。スパイダーマンを継ぐ時が来たのだ。
まさにBirth!
ここで魂を揺さぶられない男の子が居るだろうか。

そして並行世界のピーターBパーカー。
彼はMJと離婚し、事業にも失敗し、生活に疲れたスーパーヒーロー。
自分の世界ではヴィランに殺されてしまったメイおばさんとの再会、この世界ではまだピーターと別れていないMJの姿とモラレスの熱いこころに触発され、再びヒーローとして立ち上がる姿。最後に人生をやりなおしてみようとMJの呼び鈴を鳴らす彼を涙無くして見れない。
スパイディはみんな自分の世界では孤独なヒーローだ。
正体は市井の小市民で、誰にも頼ることが出来ない。いつ朽ちて折れてしまっても不思議はない。だが今は同じ様に大切な人を失い、それでも歯を食いしばって立ち上がるスパイダーマンがそばにいる。こんな嬉しいことがあるだろうか。

熱い。素晴らしい映画だった。


映画記事一覧に戻る

「若おかみは小学生!」劇場版を鑑賞する。

画像

「若おかみは小学生!」
「若おかみは小学生!」
配給:東宝/GAGA⭐︎
制作:DLE/マッドハウス
原作:令丈ヒロ子/亜沙美
監督:高坂希太郎
2018年9月21日封切り

原作を読んでいないので比較しようはないけれど、多分TV版の方が原作には近いんじゃないかな、と思いつつ。
TV版はタイトルから連想させる通りにゆるふわな展開で、なんにでも真摯で率直なおっこが幽霊や小鬼の助けを借りて、女将修行に精進する様が描かれる。一癖も二癖もある宿泊客を相手にその問題を解決して、旅館経営のあり方や温泉町の将来像、おっこ本人の将来のあり方などが見えてくる様はまさに少女文庫の名にふさわしい。実際このタイトルと「黒魔女さんが通る!!」はイラストの可愛さも相まって以前から気にはなっていた。
さてその映画版である。公開の時期からして同時期の企画と思えるけれど、TV版の後半に流れる映画版のカットが実に素晴らしくて、TV版のスタッフは嫌だろうなーと思いつつの鑑賞でした。

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭、TV版では描かれなかった両親の交通事故のシーンが描かれる。ジブリ仕込みのやたら現実感のある風景で描かれる高速道路での衝突事故!
怖いンですけど…。
パンフに監督の言で「対象となる小学生くらいの子供に配慮して抑えめに」とあるけど、このシーンの重さで全体のトーンが下がる。もちろんソレは映画のクライマックスで昇華される重さではあるのだけど、これで対象年齢が二、三年上がったちゃったんじゃないかなと思える。途中で大型トラックとすれ違ったおっこがPTSDから過呼吸を起こすぐらいの丁寧な描かれ様だ。感情移入してる子供も心拍数上がるよそりゃ。しかもこの件でおっこを助けたらしい幽霊のウリ坊が、映画の後半で再びこの事故に向き合わざるを得なくなったおっこの救いに一切ならない。精神年齢が成長してしまったおっこには彼らの姿が見えないのだ。幻想を卒業して現実を生きる姿を描いていると取れる。こういう点も対象年齢が若干上がったと思えるところだ。原作のファンで、おっこの元気な姿を期待して観に来る少女にはいささか世知辛い風景だろう。幸いなことに日曜昼の回にも関わらず、子供の姿はほとんどなく、観ていたのは家族づれ一組とオッサンが数人だった。

ただじゃあ映画は残念なだけの作品なのかと言うとまったく違う。
ジュブナイル映画として素晴らしい出来だった。温泉に昔から伝わる神楽が映画としての骨格を支えているし(TV版にはない)、おそらく原作でもそうであろう秋野真月(通称ピンふり)の存在感が素晴らしい。小学生なのに。まさにライバル。敵と書いて友と呼ぶような奴だ。自分が一番好きなシーンは春の屋女将の関峰子の子供時代。お転婆な峰子が屋根に登るところ。作画が実に生き生きとしてて素晴らしかった。ワンシーンでウリ坊の気持ちが理解できた。

いい映画には必ず「美しい瞬間」がある。ハッと心に刺さる映像が。これは昔からのわたしの持論である。理由は知らん。

「スター・ウォーズ 〜最後のジェダイ〜」を鑑賞する。

ルークはジェダイの列に並べたのかな…。

新シリーズ二作目行って参りました。
新しいSWの気概と旧シリーズへの愛が感じられる
意欲作でした。
アタシ的には「帝国の逆襲」よりずっと良かったな。

以下ネタバレあり。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしパルパティンと云いスノークと云い、なんで前線にのこのこ
出掛けて行くかな。

前作「フォースの覚醒」の直後から映画は始まる。
スターキラーベースを陥落させて大勝利に沸く反乱軍だったが、
実質はファーストオーダーの大艦隊に包囲されて撤退を余儀なくされていた。
多くの犠牲を払って、なんとかハイパースペースに逃げ込んだ同盟艦隊だったが、
なんとファーストオーダーは不可能なはずの追撃戦を仕掛けてきた!
共和国主星を粉砕したファーストオーダーの指導者スノークはこれを機に
反対勢力を一掃する決意なのだ。
最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカーの参戦を説得に、ジェダイ
発祥の星と云われるオクトーに赴いたレイは、すっかり世捨て人になった
ルークの姿に失望する。

「僕に光る剣で悪党を切り裂けと?冗談じゃない。」

本作では新たなキャラクターがいくたりか登場する。
まずディカー撤退戦で決死の戦死をするパイロット、ペイジの妹
整備士のローズ。
そしてカジノ惑星カントバイトで牢獄に囚われているハッカーのDJだ。

名もなく小さき者が大きく力強い者を圧倒する。
それはSWシリーズの裏のテーマでもある。

運命に導かれて田舎の暴走族ルークが伝説のジェダイの騎士、オビ・ワンと
共に繰り広げる冒険の横には、必ずハン・ソロやチューイの様な市井の人々が居た。
実在するヒーローに夢見るローズ、すれっからしのDJはこれら名脇役を継承する
立場だろう。

努力は報われず、結果を得られない。
映画はエンターティメントな活劇を挟みながら、ストレスの溜まる展開を
続けて行く。
もう後がない、絶対絶命だ、と思われたその時、
すっくと登場したのは我らがルーク・スカイウォーカーなのだッ!

反乱軍を包囲する大軍団に独り対峙するジェダイの騎士!

これぞ活劇!

そしてあのラストシーン。
最後のジェダイがファーストオーダーに果敢に立ち向かった
その姿を語る子供たちのきらきらした眼差し。

ジェダイは最後ではないのだ。

こうしてルーク・スカイウォーカーの冒険はその幕を閉じたのであった。


映画記事一覧に戻る
「スター・ウォーズ 〜フォースの覚醒〜」を鑑賞する。

「君の名は。」を鑑賞する。

「生まれ変わったら東京のイケメン男子にしてくださいー!」
「その願い、叶えてしんぜよう。キュア、プラパパッ!」

本当に新海さんがこの脚本(ホン)を書いたのか?
無常観と云うかもののあはれと云うか、
「ほんに人の世といふはままならぬものよのう。」
「げにも、げにも。」
みたいな煮え切らん作風で、人間には興味ないんだとばかり
思っていたのに…。
神木隆之介くんはこんな役ばっかだな。
逆か。
こんな役の神木くんばっかり見てるんだな。

以下ちょっとばかりネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天頂で崩壊した彗星の核がそんなまっすぐ落ちてくるかなー。
と思いはしたものの、大カタストロフまでは実に楽しめた。
殊に前半のとりかえばや物語のテンポの良さには唖然とした。
主人公二人の生き生きとした表情。
それを支える美しい背景。
場所がズレているだけでなく、時間も微妙にズレていることに
気付くあたりからの断絶と復帰。
正に内的なベクトルから走らざるを得なくなるドラマツルギー。
見事だった。

だけに、隕石落下から変わった未来を生きる二人が出会うまでが、
クドい。
むしろこっちのまだるっこしさの方が本来の新海節とも思える。
でも今までの新海作品なら、自分の常識に押し流されて、相手の名を
問うとこまでいかなかったろう。

観客はこの二人が濃密な時間を育んできたことを知っているんだから、
いきなり抱きついたって文句は言わない。その後、
「えっと…誰だっけ?」でも良かったろう。

新海監督はいっつも自作が不本意な受け取られ方をしてる、実力が
不足してるみたいな事をおっしゃるが、今回のこれはどうだったのだろう。

直球ストレートだったのか、ちょいと粋なフォークボールだったのか。
シナリオが初稿からこの形だったのかが気になるが、
素晴らしい作品だった。


関連記事
「雲のむこう約束の場所」を鑑賞する。
「秒速5センチメートル」を鑑賞する。
「君の名は。」を鑑賞する。

アニメ記事一覧に戻る
映画記事一覧に戻る