記事タイトル:「セパレイトブルー」をクリアする。 


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お名前: ななかん   
いや、いうまでもなくエロゲーなんですが。

なにをやっとるのか、と不快に思う人もおるでしょう。がしかし(死語)、
近頃のエロゲーはコンシューマへの移植も視野にいれてか、内容に実のあるモノが
増えておるように感じるわけですよ。
下半身産業としてソレはイカんだろう、イッてなんぼだろう、とも思うのですが、
それで淘汰が進むのなら、それでもええのかなという気もします。

で、よかったな、と。

そりゃあ、期待通りのエロエロなシーンもちゃんと用意はされておるのですが、
ごくふつうに、ごくふつうな、展開が清々しい。

物語はやる気の無い少年がやる気まんまんな坂道少女と出会って、触発され、
奮い立つのですが実は少女も押しつぶされそうな不安を抱えていて、互いに
相手を求めあう、というまんまな展開。
ここでスパイスとして登場するのが自転車なのです。
これは「ヴェルタ・ア・コイカル」という草レースの物語でもあり、そのベクトル
となるのがヒロイン、坂道少女の石橋つばめの自転車にかける情熱なのです。

「セクシーボイスアンドロボ」で栄えある文化庁メディア芸術祭大賞漫画部門に
選ばれた黒田硫黄さんの「茄子」シリーズの短編、「アンダルシアの夏」が
「ツール・ド・フランス」のスペイン版、「ヴェルタ・ア・エスパーニャ」を描いた
イカす漫画で、自転車レースのシビアな駆け引きをエンターティメントに仕上げた
快作なのですが、「セパレイトブルー」も多分にこういった要素を抱えていて、
エロゲーらしからぬさわやかさを演出しておりました。

なにをやってもそこそこ出来てしまう厭味な主人公が、自分の一所懸命って何だろう
と、自問するくだりは十分に正統なジュブナイル小説の一編であります。

[2003年4月14日 22時34分26秒]

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