記事タイトル:「KANON」をクリアする。 


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お名前: ななかん   
その世界ではきわめて名高い"Key"の作品、「KANON」をやってみた。
なんともセンチメンタルな作品で、主人公の物忘れの激しいことには驚くが、
感動した。

なんといってもキーパーソンのヒロイン「あゆ」がよい。
この街で起こる奇跡の数々が、ただひたすら待ち続けた彼女の思いによって
ひとつの物語にまとまっていく様は、ゲームならではの感慨でよく練られたプロットの
醍醐味を味合わせてくれる。

五人のヒロインの誰から攻略するのかが、意外な重要性をもっているように喧伝されていたが
ようやくの納得。どの話からはじめてもよいが、「あゆ」を最後にすることをお勧めする。
古き善き時代の映画に描かれたような奇跡を思い出させてくれる。

ただし、エロゲーとしては失格である。
セックスがこの話になんらベクトルをなしていない。
このテのヒロインに欲情できる高度な認識力をおもちの高等遊民ならいざ知らず、
コパパに集うような多少偏りが目立つかな?程度の一般人は18レーティングのない
バージョンをプレイされたほうが、物語を素直に楽しめることと思う。

アニメにもなったし、あれはあれで悪い出来ではなかったがゲームのシナリオを先に
知ったほうが感動もひとしおである。エロシーンがない、とか云う以前にリプレイが
前提になる「あゆのお願い」が省かれているので、主人公が単なる健忘症に思えてしまう。

腹を空かせた野良犬に自分の拳をかじらせるような人でありたい。
沢渡真琴が壊れていく様は「アルジャーノンに花束を」のチャーリーとかぶってしまい、
涙なしにはすすめられなかった。
記憶の中の風景がすり替わっていく恐怖はフィリップ・K・ディックのそれのようだ。
やはり良い仕事というものは時代を超越するのだな。

[2005年3月29日 22時34分37秒]

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