記事タイトル:「めがちゅ!」をクリアする。 


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お名前: ななかん   
「かみちゅ!」とはまったく関係のない(ないと思われる)フロントウィング製作のエロゲ。
フロントウィングと云えば、「セパレイトブルー」とか「魔界天使ジブリール」とかを
ロールアウトしたソフトハウス。新陳代謝の激しいこの業界で三年ちかく生き残るのは大変な事。

で良かったのかと云うととくに傑作というほどのものでなし、むしろその生き残る戦略を
かいま見せてくれた、というか。

例えばジブリールというとまぁ、そういう固有名詞かと感じるわけですがガブリエルと云われたら
ちょと受け止め方が変わる。

「魔界天使ジブリール」は魔王の種を身体に宿す、幼なじみのリカちゃんを魔族の攻撃から守る、
アドベンチャーゲームなわけですが、戦うのはリカ本人で主人公はそのサポートにまわる、今時の
アンチヒーローもの。リカがジブリールに変身するには愛しい人とのセックスが不可欠というしかけ。
でも性欲そのものは魔王の栄養にもなるというアンビバレンツがドラマツルギー。
真剣に考えると頭の痛くなる内容ですが、それなりに盛り上がりがあり、そこそこ売れたわけです。

で今回の「めがちゅ!」ではこれが逆転いたしまして、主人公に魔王の種がある。そこへ三人の女神が
来臨し、世界を救うためだから、おとなしく死んで(ハート)ともちかけられる。
女神は魔王の種なんか宿す人間は悪党に相違ない、と思い込んでいるのだが主人公は意外に好青年で、
手にかけてしまってから後悔することに。
そこで青年を生かしたまま魔王の覚醒を防ぐ、という名目で同居生活。
魔王の覚醒条件はジブリールよろしく野方図な性欲なので、女神が身体を張ってお慰めいたす、という展開。

三人の女神と同居、というのはあからさまに「ああっ女神さまっ」だし、セックスを絶対条件にもってくる
図式はジブリールとなんら変らないわけだから、新作というのもおこがましい使い回しっぷりが呆れるの
ですが、これをフォーマットと解すれば成る程と納得できる部分もないではない。
現にアリスソフトはここ数年基幹的なプログラムをまったく更新していない。その上に載せるシナリオが
変わっているだけで一応新作と見なされている。人的リソースに依存するソフトウェアメーカーがコンスタント
に商品を展開する、ひとつのやり方と云えるだろう。

エロゲーなのにコンシューマーのヒット作なみにセールスしたTYPE-MOONの「Fate」とは
またやり方が違う。

まぁそんな理屈はさておき実際おもしろかった。
ありがちな展開、ありがちな自己言及、まともな社会人には「オタク、キモッ!」と
目を覆わんばかりの惨状を呈する部分もないではないが、少なくともここには誠実な商魂がある。
桜の木のエピソードにはいささか泣けた。

エンディングの主題歌「ツナガッテルカナ?」がちょっとセンチメンタルなポップスで良い。

[2006年10月11日 10時59分26秒]

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