記事タイトル:「蒼天のセレナリア」をクリアする。 


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お名前: ななかん   
おかしいな。
もっと暇になるはずなのに。

業界ではもはや老舗の領域に入りつつあるライアーソフトの17本目のエロゲー。
ここもあんまり儲かってそうにないなー。
でも元気はあるなー。
癖の強い、購入者を選ぶようなメーカーですが、気に入っております。
「行殺!新撰組」と「腐り姫」がお気に入り。
とは言えそうそうアタリが出るものでもなく、前作の「サルバとーれ!」は
お得意のバカゲーで大いに笑わせていただきましたが、今回の「セレナリア」は
また凝った作りの異世界RPG風で、だからといってこれが本気とかそう云うのは例に
よって何だかよくわからない気合いの入れ方。

いや、話はよく出来ているのだがこれゲーム向きでないというか。
一応セレナリアを探検する部分などマップを埋めて、いろいろ拾ったりするいかにも
な作り。でも、あんまり本筋に関係ないし。
おそらく漫画か、小説でストーリーとして読めばもっと感情移入出来るのではないだろうか。
各キャラクターの個性が立ち過ぎ。
ゲームの能動性はプレーヤーに依存させないと、次に進む気を殺ぐ。

主人公コニー・イル・リクールは腕のいい飛行船乗り。
おそろしく内省的な人物で、この人の苦悩がたびたび物語を阻害する。
が、冒険ものの主人公が考えなしに行動するのが納得いかない人には、コニーが常によく考え、
当たり前な結論を結局のところ導きだすのは、リアリティを感じるかも知れん。
半獣人の機関士シェラと共に機関船ウルメンシュで空を飛ぶ。

前半はこのコニーが育った帝国辺境のダイラスから始まる。
そこは黒雲たれ込める、灰とスモッグの産業革命期のロンドンのような街。
実際高度に進化した蒸気機関で世界は支えられているらしく、彼らに機械文明を
もたらした科学者集団を碩学様と崇めている。

ところが、実はここは閉鎖された大陸で、皆が世界の果てと信じて疑わなかった
「世界の水殻」の向こうにもまだ世界は広がっていたのだ。
その外の世界セレナリアからやって来た少女風の生き物、ヤーロと帝国のイザコザに
巻き込まれたコニーとシェラは、この不思議な二重世界の謎をその脚で解き明かして行くことに。

実際はじめて水殻を越えて、セレナリアの蒼天を目にした二人の驚きには新鮮さがある。
マスクなしに呼吸できる空気。
蒸溜しなくても飲める水。
なにより帝国にはなかった色、スカイブルー。

未知なるものを前にして感じるものが恐れではなく、興味になるのは全てのロケット野郎に
共通の性質。ああ、コニーはロケット魂を持つものだったのか。
コニーが水殻を突破したことで、世界のバランスは動き始める。
強大な武力と汚染をばらまく帝国の侵攻。
セレナリアを今でも括るという「旧き盟約」とは何なのか。
コニーは帝国軍よりも先にヤーロを見つけ出せるのか。

う〜む粗筋だけのほうが面白そうだ。

でも気持ちのいい終わり方だったのでヨシとする。

総評;悪くはなかった。でも見せ方にはもっと研鑽の要あり。各要素がもったいない。
   セックスがちゃんと機能しているのでエロゲとしても正しい。でも薄いけど。

[2006年12月26日 0時32分40秒]

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